間宮さんのニセ花嫁【完】



あれ、でもこれ……


「二位?」

「あっ……」


彼女は私が手にしていたトロフィーを見て、一瞬顔を歪めた。


「二位のものは飾らないようにお願いします。一位のものだけ」

「わ、分かりました!」


私的に二位と凄いと思うのだけど。しかしいくつか手にとってみるが一位のトロフィーや盾よりも二位のものの方が多いように感じる。
あの間宮さんでも一位を取るのって相当難しいんだ。だけど間宮さんを超えて一位になった人も凄い。

まだやることが沢山あるのか、お手伝いさんは「お願いします」と席を外し、私は彼女に言われた通りに棚にトロフィーを飾っていった。

夜七時、長いごと準備した間宮さんの誕生日会が遂に始まった。


「千景、お誕生日おめでとう!」

「おめでとうございます!」


いつもは席を外しているお手伝いさんたちも居間で間宮さんの誕生日を祝っている。その様子に彼は困ったように眉を顰めた。


「こんなに盛大に祝わなくていいのに」

「何言ってるの、千景の誕生日なんだから張り切るのは当たり前でしょう?」

「張り切りすぎなんだよ、母さんは」

「でも折角の誕生日なんだからいいじゃないですか!」


ね?と尋ねると間宮さんは「なんで佐々本まで張り切ってるんだ」と目だけで伝えてくる。だってあんなにも嬉しそうにする桜さんを見ていたら手伝ってしまいたくなるじゃないか。
昨日のために朝から準備していた豪勢な料理をお手伝いさんたちが取り分けていく。今日この時ばかりは無礼講らしく、お手伝いさんを含めた大人数での食事となった。



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