間宮さんのニセ花嫁【完】

間宮さんと、海




二週間後、梅子さんのお茶会に参加することになった私はそこで結果を残さなければ間宮さんとの結婚は認められないと言われ、絶体絶命のピンチを迎えていた。


「ど、どうでしょう」


正座して見据えるは私が今丁度立てたお茶を口に運ぶ梅子さんの姿。その飲む姿さえも無駄なく美しいところに見惚れていると彼女は一口するや否や、ピクリと眉間に皺の寄る。


「泡のキメが粗いです。口当たりの良さに通じるのでもっとキメ細かい泡を作ることに専念してください」

「は、はいぃ……」

確かに梅子さんがいつも見本に点ててくれるお茶とは見た目からして違うがある。
何度か練習して作る段階までは体に染み込んだのだが、やはり満足せるような出来はまだない。

本当に二週間後、私は美味しいお茶が立てられるのかと今から不安が立ち込めてきた。


「あ、あれ? 今って何時ですか?」

「……三時ごろかと」

「えぇ!? もうそんな時間!?」

「っ……」


突然立ち上がった私に目を丸くする梅子さん。


「こら! そんな風に腰を上げると着物が乱れますよ!」

「す、すみません! でも私夕方から用事がありまして」

「はぁ、貴女わかってるんですか? 本番は二週間後ですよ?」

「そうなんですけど、こればかりは前からの約束でして」


どうやって練習から抜け出そうかと悩んでいると茶室の外から聞き覚えのある声が聞こえた。この声は、救世主の間宮さんの声だ!


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