エリート社員の一途な幼なじみと交際中!
耳元で低く囁かれる言葉に、肩がぴくりと跳ねる。

「ありがと」

不意に、覆っていた手がほどかれて、重ねていた私の手と繋がれた。くるりと振り返ると、視界に正真正銘、会いたかった環の姿が映った。

「梓」

そういう環の表情は、優しくて、愛おしくて。

「毎日やりとりしてたのに、こうして会うと、なんか不思議な感じだな」

「本当だね」

環の格好は、長時間のフライトにも関わらずネクタイもYシャツもくずさず、スーツの上着も折り目正しく腕からかけていた。これから出張だって言われても、違和感なく送り出せる位だ。

そんなビジネスマンの鑑みたいな環の瞳が、少しだけ揺れた。

「なあ」

「ん?」

「……毎日、会いたかった」

ああ、ずるいなあ。

我慢していた思いが抑えられなくなって、触れたくなって、人目も憚らず環に抱き付いた。
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