新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「省吾さん! 省吾さん!」

 肩を揺さぶられ、慌てて起き上がる。

「患者は? 点滴して鎮痛剤を……」

 見回してみても、患者も救急隊もどこにもいない。
 何度見回してみても、ここは見慣れた自宅の寝室だ。

 結愛さんが、驚いた顔をしているだけ。

「夢見が悪かったみたいですね。苦しそうにうめいて汗もびっしょり」

「悪い。こんな夢を見るのは久しぶりだ」

 額を拭うと、脂汗が滲んでいる。

「お疲れなんじゃないですか。やっぱりベッドで寝てください。私と寝るのが無理なのなら、私がソファに……」

 ベッドから抜け出そうとする彼女の腕を引いて、自分の腕の中に収める。

「これではイタチごっこだ。シャワーを浴びたら、私もベッドで寝よう」

「また、そうやって嘘を……」

「嘘じゃないよ」

「では、シャワーまでついていって見張っています」

「覗くの?」

「ち、違います! なんだか心配で……」

 抱きしめている腕に力を込める。

「省吾さん?」

「私も今日は結愛さんと眠りたい」

 彼女をギュッと抱きしめる。
 どうしてか、彼女がどこかへ消えてしまいそうに思え、回している腕に力を込めた。

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