新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「まあ、でも。どうして彼が結愛との結婚を決めたのか分からないけど、彼は彼なりに誠意は見せていると思ったから、私はその約束以外は静観してる」

「誠意?」

「だってそうでしょう。なにか理由があって結愛と結婚したがっていたのに、私の一言で婚姻届を出すのを待って、結愛と向き合おうとしている」

「向き合ってくれてるのかな」

「ま、そうなんじゃない? 少なくとも、結愛はそういう彼じゃなきゃ、いくらイケメンでも、なびかなかったかなって」

「もう、さっきは「あのイケメンに迫られたら、誰でもその気になっちゃうもの」って言ったくせに!」

 怒ってみせると珠紀は笑う。
 ひとしきり笑ったあと、珠紀はポツリと言った。

「結愛、なにかを彼に聞きたいんじゃない?」

「どうして?」

「なんとなく、そう思っただけ」

 母だけじゃなく、珠紀にもバレバレなんだなあ。
 ただ、私が分かりやすいだけなのかな。


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