新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「聞きたいなら聞いた方がいいんじゃない」

「うん、そう、だね。ね、珠紀は五十嵐先生が嫌いなの?」

「はい? なに、もしかして私が五十嵐先生を狙ってるから邪魔してるとか思ってる?」

「ううん。そうじゃなくて目の敵にしてるような気がして」

 慌てて訂正すると、珠紀は苦笑する。

「そりゃ好きではないよ。あの先生の担当のせいで「五十嵐先生と話せていいわね」とか「どんなコネ使って担当になったの?」とか先輩に嫌味を言われるもの」

 そうだった。
 珠紀は五十嵐先生のイケメンの二次被害に遭っているんだった。

「でも、一番気に入らないのは、結愛をこんなに悩ませている原因だからよ!」

 プイッとそっぽを向いて、珠紀は口を尖らせる。

「もう、珠紀、大好き!」

「はいはい。彼にもそのくらい言ってあげなさいよ。前に「好かれていないかも」なんてぼやいていたわよ」

「え、誰が」

 まさか、まさかね。

「一人しかいないでしょ。案外、向こうの方が結愛に振り回されているのかもって、内心ほくそ笑んじゃった」

 珠紀は楽しそうに笑う。
 私は、省吾さんが私の言動にあたふたしている姿が想像できなくて、「絶対にあり得ないよ」と言って笑った。



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