新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
珠紀と話し、今日は母とも話そうと思い立ち、省吾さんにその旨を連絡をした。
久しぶりに母の小料理屋に向かう。
もちろん母にも、行くと伝えてある。
「いらっしゃい……ああ、結愛。ちょっと待ってね。もう閉めちゃうから」
「え、いいのに」
「いいから、いいから。最近、中村先生も忙しいみたいで、めっきり来られないのよ。ま、あの頃は結愛を見に来てたっていうのもあったと思うけどね」
お店の暖簾をしまう母の背中に向かって、言いたかった不満をぶつける。
「中村先生に聞いたよ。結婚話の始まりは、お母さんから相談を持ちかけられたからだって」
「あら。もう聞いちゃったの?」
「聞いちゃったの? じゃないよ」
頬をむくれさせると、母は笑う。
「その文句を言いに来たんじゃないんでしょ?」
やっぱり母は鋭い。
私は、頬をかいてへへへと笑う。
迷いつつも、本題を切り出した。