新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「大切だからこそ、潔く身を引くのが君のためだって思っていた」
本心をこぼすと、彼女は不満を口にする。
「自分が傷つかないように、先にお別れを切り出すなんて、ひどいです」
「それは……」
そう指摘されると、自分の意気地の無さが露呈したような気がして、急に気恥ずかしくなる。
大人の対応をしたつもりでいた自分が恥ずかしい。
結局は、自分のことだけしか考えていなかったのか。
彼女は黙り込む私に、少し意地悪な顔をしつつも、私の気持ちを汲む発言をした。
「冗談です。私のためを思って言ってくださったんでしょう?」
「それは、もちろん」
上擦った声が言い訳がましく聞こえ、二人で顔を見合わせると、どちらからともなく吹き出した。
なんだかとてもおかしくて、笑い合った。