新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
私は慌てて邪念を振り払い「あの、着替え終わりました」と彼へ告げる。
振り向いた彼はフローリングに腰を下ろしたまま、私の髪に手を入れて髪を梳かすように頭を撫でた。
「あの、さっきみたいに」
「ん?」
催促するのが恥ずかしくて、布団を目の下まで持ち上げる。
「省吾さんも、一緒にベッドに入りませんか」
「ああ」
朗らかに微笑む彼が「じゃ向こうに詰めて」とベッドの端から布団を持ち上げた。
隣に体を寝転ばせた彼は、そのまま私を腕の中に収めた。
「話はまたにしようか」
そう呟く彼の腕に、しがみついて頬を寄せる。
「その話は、また悲しくなりますか」
「心配しなくていいから、少しおやすみ」
「でも……」
彼は私の頬を撫で、優しく言った。
「あんなに豪語しておいて今さら格好がつかないけれど、君から離れるなんてもう言わないから」
「君、ですか?」
「結愛さん、です」
「……はい」
その言葉が聞けて、安心からかまぶたが重くなる。
「私も少し眠るよ」
彼も眠る安心感から、ゆっくりと夢の世界へいざなわれた。