新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
そんな彼女が隣に眠る。
かわいらしい寝息をたて、安心しきっている、というよりは疲れ果て、緊張の糸が緩んだ末の寝落ち。
家族だけの海外ウェデング。
式は滞りなく終わった。
式の最中、彼女の視線が別の人物に幾度となく向いていたのは知っている。
中村宗一郎。
私の父だ。
父に憧れていたと知った時は、落胆よりも彼女への興味がより増した。
彼女と結婚するまでには様々な難関があったが、父の件もその一つだ。
だが、最終的に彼女は私の誘い文句に乗る形で私たちは夫婦になった。
「父に想いを寄せたままでいい。私は歳をとれば次第に父に近づいていくでしょう。一番の有望株ではないですか? ですから、私と結婚してくださいませんか」
他にも、私は彼女へ償わなければならない罪があった。