新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 隣の彼女にモゾモゾと動きがあり、その後、状況を把握したのか固まったのが分かった。

 そっと近づいて彼女の体に腕を回す。

「おはようございます。よく眠れましたか」

 しかし彼女からの返答はない。

 体に回した腕を少しだけ緩め、背中に手をトントントンと三回優しく置く。

 すると彼女からも控えめながら、トントントンと三回、返事のように繰り返された。

「少しだけ、このままで」

 囁くと彼女も小さく頷いた。
 腕に抱いた彼女はどこもかしこも柔らかく、甘い匂いがして離し難い。

 髪までも柔らかく、その柔らかな毛が私の頬に触れ、くすぐったい。

「さあ、折角ですから新婚旅行を楽しみましょうか」

 彼女を腕から解放し、ベッドから先に降りてバスルームへ向かった。

 新婚初夜にしては甘さが足りていない自覚はある。
 しかし彼女とはこれでも十二分に前進していた。

 なぜなら彼女は場面寡黙症だから。


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