新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 目を開けると、彼女は眉間に皺を寄せ、唸っている。

 彼女は悪夢を食べるバクなのか、私自身は嫌な夢は見なかった。
 疲れ過ぎていて、夢を見る暇がなかったのが原因かもしれないけれど。

 彼女はうめきながら「もう食べられない」と言った。
 思わず吹き出して、目を細める。

 平和だなあ。
 いや、夢の内容を聞いてみなければ、わからないけれど。

 そもそも自分は、こんなにも人にしがみついて泣くような人物だっただろうか。
 他人から冷めていると言われるくらいで、なにがあっても動じないと、自負があった。

 涙腺は壊れてしまったのだ。

 そう結論づけて、彼女に優しくキスをする。
 くすぐったそうにする彼女に笑みをこぼし、もう一度目を閉じた。


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