新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
照れ臭そうに頬をかく珠紀が、私の今後を心配してくれる。
「五十嵐先生、うちの産業医は今年度限りにして、ご実家の病院を継がれるんでしょう? 結愛は仕事どうするの? 五十嵐先生が忙しくなるのなら、家に入ってサポートするっていう手もあるんじゃない」
「あ、それね。私も考えていて」
実は……と、まだ構想段階でしかない考えを珠紀に話す。
「それいいじゃない。きっと五十嵐先生も驚くね。あー。あの崩れない表情を、歪ませてみたいのよね」
「やっぱり珠紀って」
私が言い淀むと、珠紀はぴしゃりと撥ねつけた。
「好きじゃないからね! ただ五十嵐先生のせいで受けた、理不尽な言いがかりの八つ当たりがしたいだけ」
「なによ。それ」
「イケメンは存在だけで罪なのよ」
「あ、でもわかる!」
珠紀と二人、五十嵐先生がどれだけ美しく罪深いかを盛り上がって話した。
悪口を言っているような、褒めているような。
とにかく、こんな話は本人には聞かせられないから、やっぱりこの場には連れてこられないよなあと笑った。