新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「で、謙吾がどう考えているのか、わからないが医師の二人体制というのはどうだろうか」
話の全容を掴めない謙吾さんは、きょとんとしている。
「そりゃ二人体制は診察数も半分にできるし、助かるけど、今はどこも医師不足だから。現実問題、難しいよな」
「助かる、のか」
「そりゃそうでしょ。兄さんも病院にいるんだから、わかるでしょ」
「まあ、な」
いつ、省吾さんは「自分も中村医院で働こうか」と言い出すだろうと、ドギマギした。
けれど、話好きそうな謙吾さんは別の話題に切り替えてしまった。
「父さん、仕事一本だった人が辞めて、なにするかって、兄さんも興味ない?」
「ああ、まあ」
お父様が辞めると聞いて、省吾さんは怒っていたようだ。
でも、私なら第二の人生を歩んでほしい。
中村先生は奥様を亡くされて、長らくお独りでいらっしゃったし、人生のパートナーになる方を見つけてもいいんじゃないだろうか。
そんなことを言ったら、省吾さんは怒るかな。