新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
そのドキドキと、居た堪れない不穏な空気を壊したくて、私は声を上げた。
「あの、私、医療事務を勉強中です!」
「本当!? 結愛さん!」
雅さんが嬉しそうに言う。
雅さんも不安なんだなあ。
代々続く医院を任されるのだから、当たり前だよね。
「結愛さん? 私はなにも聞いていませんが」
意表を突かれた省吾さんは、すっかりいつもの「結愛さん」呼びに戻っている。
「だって、言っていませんもの。省吾さんを驚かそうと思って」
「だからって」
なにか言われる前に言わなければと、省吾さんの言葉を遮って私は言った。