新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
昼過ぎには顔色がよくなり、彼女は自嘲気味に言った。
「ご迷惑をおかけしました。知恵熱のようなものだと思います」
読んでいた手元の本を伏せ、彼女の頬に触れる。
肩を揺らす彼女は、確かにいつもの彼女だ。
今朝は体を固くするばかりで反応が薄かった。
近づかれる苦手意識よりも、発熱のつらさが優っていたようだった。
それが今は身構える余裕と、それを私には悟られまいとする心遣いまで感じる。
いけない。
彼女の健気さは私の琴線に触れる。
僅かに接していた手を頬から離し、彼女から目を逸らす。
「軽く食事をとりましょうか。ルームサービスを頼んできます」