新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
潮風を感じながらビーチ脇の道を行くと、ほどなくしてレストランに着いた。
案内されたのはテラス席。
海が眺められる開放的なロケーションに、気持ちは高揚する。
「気に入ってくれましたか」
「もちろんです」
「では、メニューを決めましょう。結愛さんはお酒を飲まれますか」
質問され、何気なく返答する。
「省吾さんは飲まれませんよね」
「ええ」
「中村先生も……あ、いえ。省吾さんのお父様もいつも飲まれませんものね。医師はいつ如何なる時も医師だって」
つい、饒舌に話してから、彼の表情が僅かに変わったことに気がついた。
二人のいい雰囲気に水を差すような発言をしてしまったと、後悔しても言った言葉は取り消せない。
気まずくなり黙っていると、彼は静かにフォローした。
「父を想っていても構わないと言いましたよ」
「え、ええ。でも……いえ、はい」
私は彼の優しさに触れ、彼とならと思い、結婚した。
けれど、どうして彼が私を選んだのか未だに分からない。