新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 二人でいても、省吾さんへ女性からの熱い視線を感じる時がある。

「モテないって、やっぱり嘘ですよね」

 彼の所作は職場でも見かけた通り、品がある。
 自然と目を引く彼の所作に、私だけではなくたくさんの女性が惹きつけられる。

 初めての顔合わせで、五十嵐先生がいらした時は驚いた。
 一方的に知っていたイケメン医師が、中村先生の仰る私に紹介したい息子さんだなんて。

 その時に「五十嵐先生ならおモテになるでしょうし」とお断りしようとした。

 けれど「医師は忙しくて、皆さんが思っているほどモテてないのですよ」と言われ、そうかもしれない……と妙に納得してしまった。

 もちろん、結婚を決めたのは他にも色々な理由があるのだけれど。

「本当にモテないのですよ」

 肩を竦め、彼は戯けてみせる。

「そんなわけないです。言い寄られているって珠紀も言っていました」

 現に今だって……とは言い出しづらくて口を噤む。
 彼を見る女性の視線まで気にするなんて、どこまで心が狭いのかと思われたくなかった。


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