新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「珠紀……ああ白石さんですね」
珠紀は人事の関係で五十嵐先生と関わる機会があるのだ。
五十嵐先生も珠紀と私が仲がいいと認識しているようだった。
「あれはモテるというには、語弊があります。皆さん。私自身がいいわけではありませんからね」
「まさか。五十嵐先生だからいいんですよ」
驚きの声を上げると訂正された。
「結婚したのですから、二人の時は省吾と呼んでください」
「……はい」
こんなお願いに私は胸が高鳴って仕方がないというのに、彼はもちろん至って自然体だ。
珠紀が『自覚のない天然、人たらし』だと、ぼやいていたのを、今なら力強く頷ける。
「五十嵐先生だからいい、というのは、褒め言葉として受け取っていいでしょうか」
「……どうぞ。」
私から褒められても……。
そんな卑屈な考えが浮かんで頭を振る。
反して、彼は心から嬉しそうな顔をする。
「ありがとうございます」
これだから誤解しそうになる。
彼は私を大切だと、思ってくれているのではないか、と。
もやもやしている私に、省吾さんは持論を展開する。
「結愛さんはそう言ってくださいますが、皆さん私ではなく、私の職業だとか、外見だとか、中身はどうでもいいのですよ」
「でも私もその人たちと変わらないです、よね」
彼は軽く笑って「そうかもしれないですね」と言った。