新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
彼女は彼女なりに、私と夫婦になろうとしてくれている。
そう感じられ、彼女に無理のなさそうな夫婦らしい要望を口にした。
「では、明日から毎日。なにがあっても、いってらっしゃいのキスをしましょう」
「……おやすみのキスではなく?」
「それは、そうですね。いってらっしゃい、がいいですね。その理由は、きっとそのうち結愛さんも分かるのではないでしょうか」
「そう、ですか。分かりました」
彼女は腑に落ちない顔をしているが、この話題は無理やり終わりにする。
「ですので、寝ましょう。明日も早いですし」
嘱託産業医ではあるが、通常の社員と同じ時間に出社する予定になっている。
大都病院への勤務の日は当直もあり時間帯はバラバラだが、明日からしばらく春の健康診断の時期。
アオシマコーポレーションの方に行く機会が多い。
「社員の健康管理、よろしくお願いしますね」
「ええ、もちろん」
お互いに扉の前まで行き「おやすみなさい」を口にして、別々の部屋へ入った。