新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 部署に戻ると、新しく異動した社員への必要書類の配布や、備品の補充などを済ませ、今日一日の仕事を終える。

 母の小料理屋へ手伝いに行き、道を間違えないように省吾さんと暮らすマンションまで帰った。

 時間が許す限りは今まで通り、母の店を手伝うというのは省吾さんにも了承を得ている。

 省吾さんはまだ帰っていないようで、干してある洗濯物を畳み、畳んだ洗濯物を彼の書斎へと運ぶ。

 彼のワイシャツなどはクリーニングに出していて、洗うのは部屋着やタオルくらいだ。
 浴室乾燥で乾かすので、天候を気にしなくていい点はとても助かる。

 書斎のドアを開け、部屋の全貌を眺めてから、入るのは良くなかったのだと気がついた。

 部屋は六畳ほどで、デスクにパソコンと難しそうな書籍が並ぶ。
 隣にある本棚にもたくさん本が並び、家具はデスク、椅子、本棚で終わりだ。
 スッキリとした部屋は彼らしいインテリアだけれど、重要なものが欠けている。

 ベッド。

 省吾さんはどこで寝ているのだろう。
 壁際にはクローゼットがあるから、その中に布団が入っているのかもしれない。
 それとも簡易ベッドのような、折りたたみ式のものが入っているのか。

 そんなことも知らないくらい、彼の部屋に今まで立ち入らなかった。
 勝手に入るのは、まずかったかもしれない。


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