新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
チュッチュッとリップ音が廊下に響く。
触れさせては離し、もう一度触れる。
深いキスをしたい、もどかしさを感じながらも、夢中で何度も重ね合わせた。
何度重ねても足りない気がして、彼女を離せない。
髪に手を差し入れると彼女が体を揺らし、私にしがみついた。
なにも言わない彼女に、なにも……。
ハッとして、彼女の体を勢いよく引き剥がす。
「すみません。調子に、乗りました」
嫌だとしても、彼女は意思表示が出来ない。
こんなに簡単で、重要なことを忘れるだなんて。