新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
私の腕に、力なく添えられていた手が動いてドキリとする。
三度、トントントンと、その手は合図を送った。
うなだれていた顔を上げると、怯えているとばかり思っていた彼女と目が合った。
その目は潤んで揺れている。
「大丈夫って、大丈夫じゃないでしょう?」
質問したところで返事はない。
もどかしくて、それをつい最近までは愛おしく感じていたのに、今は苛立ちが先に来る。
いっそ、彼女を傷つけてしまいたい。
傷つけて、私以外なにも考えられなくなればいい。
自分にこんな攻撃的で、利己的な思いがあるとは思わなかった。
彼女の手を邪険に振り払い、自室へと向かおうと体を起き上がらせようとしたけれど、それはかなわなかった。
彼女は頑なに私の腕をつかんで離さない。
そして、もう一度、トントントンと腕に手を置いた。
プツンと私の中でなにかが切れたのを感じた。
彼女に覆いかぶさると、噛みつくように唇を重ねた。