新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
会社でもふとした時に思い出してしまい、叫びながら走り出したい衝動に駆られた。
みんなどうやってやり過ごしているんだろう。
キスだけでこれで、この先は……。
考えてもどうしようもない『もしもそうなったら』が浮かび、自発的に撃沈する。
特に食事がいけない。
自分の落ち度なのだけれど、負傷した唇が染みて、忘れていたくても強制的に思い出されてしまう。
はぁと深くため息を吐いた。
結局、聞けなかった。
彼が書斎で、どうやって眠っているのか。
だから彼を引き留めたのに。
キスは彼を引き留めるための不可抗力で……。
ううん。違う。私も彼に触れたいと思っている。
この気持ちはなんだろう。
『婚姻届』が出されていない事実を知り、書斎でどう眠っているのか以上に聞かなければいけない内容だ。
それなのに、怖くて聞けない。