新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「お待たせしましたか」
ふんわりとしたフレアスカートをはためかせ、パタパタと駆け寄ってきた彼女に頬を緩める。
「いえ。急がなくても平気でしたのに」
「あまり待たせると、誰かに連れて行かれそうですから」
彼女はたまに不思議な発言をする。
それがおかしくて、何故だかかわいらしい。
「子どもではないので、知らない人にはついて行きませんよ」
「いえ、そういう意味ではなくて、その、眉目秀麗な男性を待たせるのは、どこのどいつだっていう視線が針の筵のようで……」
無自覚に、大層な言い方で褒めてくる彼女には参る。
「その『眉目秀麗な男性』は私で間違いないですか」
「え、ええ。他にどなたが?」
さも当たり前のように返されて苦笑する。
「では、女性に連れて行かれそうだと、心配してくださったと取ってよろしいですか。それはヤキモチですね」
「ヤキ……モチ……。いえ、そんな滅相もない」
自覚がないのだろうか。
それとも僅かでも、好意を持たれていると、私が思いたいだけだろうか。