新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
頭の中では神田先生のセリフが、繰り返し流れた。
『美男美女の医師カップルでお似合いでしたよ』
美男美女で、同じ職種で、あなたよりよっぽどお似合いでしたよと言われたような気がしたのは、被害妄想だろうか。
彼女の方も、私に話しかけなくたって……。
じっくり見たわけじゃない。
けれど、スラッとした背の高いモデルみたいな女性だった。
背の高い省吾さんと並べば、それはお似合いだっただろう。
省吾さんのスペックと年齢からすれば、過去に恋人くらいいてもおかしくない。
いない方が変だ。
だからって……。
元彼女とは結婚に至らなかったかもしれない。
けれど、私は彼女よりも愛されていたから結婚したと、胸を張って言える立場じゃない。
愛されてなどいない。
形だけの夫婦……。
込み上げて来る感情が、考えないように努めていた、出されていない婚姻届まで思い出させる。