新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
どれくらい眠ってしまったのか。
泣き疲れ、ソファで眠っていた。
時計の針が、時を刻む音が耳につく。
身震いをして、辺りを見回す。
まだ夜中なのか暗い。
全ての照明が消された暗闇は、世界から一人取り残されたような気にさえなった。
体を起こすと、自分にかけられていたブランケットがはらりと落ちる。
こんな優しさ、いらない。
再び涙が込み上げそうになり、嗚咽を漏らすと、離れた場所でなにかが動いて肝を冷やす。
省吾さんだった。
彼は私に近づきもせずに、前を向いて話し始めた。
「結婚する前の話は、出来れば聞いてほしくなかった」
ひと呼吸置いて、再び彼は続ける。
「私は私なりに、結愛さんと夫婦になるつもりでした。だから今日、なにを聞いたのかは知らないが、忘れてほしい」
暗闇の中、彼の輪郭だけがぼやけて見える。
ハッキリと見えないのは、救いだ。
私は自分の服を握り締め、彼の言い分を飲み込んだ。