しずくの恋
1時間目の授業も2時間目の授業もそのおじいさんのことが気になって、

でも誰かに相談することもできずにいた。


「ただの酔っぱらいだし、大丈夫でしょ!」


そう思う一方で、


「もし、あのおじいさんに万が一のことがあったら?

私は目の前にいたのに、なにもしなかったんだよ?」


と、自分自身を責める、
後ろ暗い気持ちを拭い去れずにいた。



2時間目の音楽の授業が終わり、
落ち着かない気持ちのまま教室にもどると、


職員室の前でカバンを手にした流山くんが立っていた。



「あ、あの人!」



考えるより先に足が動いていた。

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