しずくの恋
「連絡しないで遅刻したことには変わりないから、
遅刻した俺が悪い」


当たり前のことのようにそう言われて、
言葉を返せなかった。

すると、流山くんが表情を緩めた。


「あ、ってことは同じ電車だったんだ!
あのおじいさん、大丈夫だったよ。

家族の人がちゃんと迎えに来てくれてた。

孫が生まれることになって、
うれしくて朝まで飲んじゃったんだって。

急に倒れてびっくりしたよね」


そう言って柔らかく笑った流山くんの笑顔は、
今でも忘れられない。


不謹慎だけど、

物怖じしない瞳で先生を見つめて
凛とした姿勢で潔く頭を下げる流山くんは

すごくかっこよかった。

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