しずくの恋

杏ちゃんと琴ちゃんと3人で道場の隅の指示された場所で、稽古の始まりを待つ。


みんな、道場に入るときに「お願いします！」と大きく挨拶をして、深く一礼している。


まだ稽古前だというのに軽口をたたく人はいない。

緊張した雰囲気が道場全体に漂っている。


「あのさ、私達、もしかして場違い？」


こそっと呟くと、杏ちゃんも深く頷く。


琴ちゃんも慣れない雰囲気に緊張しているのか、がちがちに固まっている。


こ、こんなところで、盗撮なんてとてもできない…！


すると、道場の一角で「押忍っ！」と大きな号令が響き、小学生の稽古が始まった。

その光景を見て、息が止まる。


小学生の前に立って指導しているのは、

流山くんだった。