しずくの恋
私は、なんて馬鹿なんだろう。
こんなストーカーみたいなことして…

流山くんに好きな子がいること、わかってたのに。
あきらめようって思ったのに。


こんなところまで着いてきて、私はなにがしたかったんだろう。

全身の力が抜けて、下を向いたまま顔を上げることができなかった。

情けなかった。

いたたまれなくなって、
もう帰ろうと思って顔を上げると、

吉川さんが去っていく後ろ姿を流山くんが見送っているところだった。


しばらく、吉川さんを見送る流山くんの背中を見つめていた。


その流山くんの後ろ姿はやっぱり美しくて、

でもどうしてなのか、

そのときの流山くんの背中がとてもさみしそうで…



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