君と巡る歴史
トゥルキが優しく言う。千夜の言葉一つ一つに喜んでくれるトゥルキを見て、千夜も居心地の良さを感じた。

「ここは、チュニジア最古のカフェと呼ばれているですよ」

トゥルキがそう言って案内してくれたのは、カフェ・デ・ナット。色鮮やかな絨毯が敷かれ、歴史を感じさせる調度品が置かれている。

二人はチュニジア名物のミントティーを注文する。トゥルキが千夜に訊ねる。

「千夜さんのお父様からお聞きしたのですが、千夜さんは歴史がお好きなんですか?」

「……はい。日本史も、世界史も大好きです。海外旅行に行った際も、歴史的な観光地を巡ることが多いですし」

「私も歴史が大好きです。チュニジアの遺跡を明日から観光しませんか?」

トゥルキにそう言われ、千夜の目が輝く。

「本当ですか?嬉しいです!」

それは、千夜が久しぶりに楽しみを感じた瞬間だった。

ミントティーが運ばれてくる。千夜とトゥルキは同時にミントティーに口をつけた。
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