腹黒王子の初恋
仕事を定時で切り上げ、カフェで時間潰し。最高の時間です。オレンジジュースとお気に入りの小説を片手にまったり。むふふ。
ここは私のお気に入りのカフェ。おしゃれなインテリアに落ち着いた雰囲気。コーヒーの香りがほのかに漂う。素敵な場所なのにそんなに人が多くない。今日は金曜日だからいつもよりは人が多いかも。
友達が少ない私は小説や漫画を読むのが大好き。特に恋愛もの。極度の人見知りのため、男の方々と出会う機会もなく努力もなく特に興味もなし。彼氏いない歴も=年齢。こうやって本で疑似恋愛して妄想して楽しめれば全然問題なし。友達は莉子と泰晴がいるしね。
今日は昨日買ったばかりの小説。タイトルは【年下ワンコ拾いました】。道で倒れていた男の子を拾い家で同居する話だけど、実は御曹司で…って内容の王道ラブコメディー。この年下ワンコとかゆうきゅんのイメージにぴったりだよね。何か育ちがよさそうだし。
『ん~眠いよ~起こして』
『もーちゃんと起きなよ。ごはんできてるよ。』
ゆうの手を取りひっぱろうとしたらぎゃくにぐっとひっぱられた。
『…わわっ』
いつのまにか抱き締められてた。
『ふふっ。あったかい。まだ眠いよ。一緒に寝よ。』
『何言ってんの!早く起きて!私会社行くんだから』
『ちぇ』
唇をとがらせて言うゆうを押しのけるとびくともしない。意外に力ある。そう思ったらなんドキドキしてきた。不覚にも真っ赤になった顔を見られないよう顔を横にむけると、
『なんかいい匂いする。』
『…っ』
首筋に唇が当てられた。驚いて名前を呼ぶ。
『…ゆ…』
「あれ?梢先輩じゃないですか!」
急に声がした。反射的に上を向く。妄想とおなじ顔が目の前に。
「…ゆう…」
「え?」
驚くゆうの顔…ばっちり目が合った。
「…うわ…」
ゆうの小さな声が聞こえた。
「っ!ゆうきゅん!」
急に現実に戻されて席から立ちあがった。なになに?本人じゃん。思わず声に出しちゃった。顔から血の気が引いて行くのが自分でもわかる。
「今、ゆうきゅんって?僕のことですか?」
ゆうきゅんが上目遣いに聞いてくる。何だよもう。かわいいなあ。
「いいえ、言ってません。それより文月くんはここにどうしたんですか。」
急に話題を変えてみた。いつもよりよくしゃべった、私。
「ぶっ!いきなり態度変わりすぎ。さっきから赤くなったり青くなったり、無表情になったり。」
「…」
「僕は取引先がここの近くなんですけど、直帰になったから寄ったんです。」
ああ。山之内書店。確かにこの近くだ。
「梢先輩がいるなんて偶然ですね。うれしいなあ。」
そう言いながら落ちた本を拾おうとする。
あっ!さっき立ち上がった時にかばんと本が下に落ちちゃったんだ。その本はだめ!
ゆきゅんが拾おうとしている本を取り上げかばんに急いで入れた。
「それでは。私は急いでいるので。お疲れさまでした。」
逃げるように店を出た。
「あ!梢先輩!待って」
そう彼が叫んだのを聞こえないふりをした。
ここは私のお気に入りのカフェ。おしゃれなインテリアに落ち着いた雰囲気。コーヒーの香りがほのかに漂う。素敵な場所なのにそんなに人が多くない。今日は金曜日だからいつもよりは人が多いかも。
友達が少ない私は小説や漫画を読むのが大好き。特に恋愛もの。極度の人見知りのため、男の方々と出会う機会もなく努力もなく特に興味もなし。彼氏いない歴も=年齢。こうやって本で疑似恋愛して妄想して楽しめれば全然問題なし。友達は莉子と泰晴がいるしね。
今日は昨日買ったばかりの小説。タイトルは【年下ワンコ拾いました】。道で倒れていた男の子を拾い家で同居する話だけど、実は御曹司で…って内容の王道ラブコメディー。この年下ワンコとかゆうきゅんのイメージにぴったりだよね。何か育ちがよさそうだし。
『ん~眠いよ~起こして』
『もーちゃんと起きなよ。ごはんできてるよ。』
ゆうの手を取りひっぱろうとしたらぎゃくにぐっとひっぱられた。
『…わわっ』
いつのまにか抱き締められてた。
『ふふっ。あったかい。まだ眠いよ。一緒に寝よ。』
『何言ってんの!早く起きて!私会社行くんだから』
『ちぇ』
唇をとがらせて言うゆうを押しのけるとびくともしない。意外に力ある。そう思ったらなんドキドキしてきた。不覚にも真っ赤になった顔を見られないよう顔を横にむけると、
『なんかいい匂いする。』
『…っ』
首筋に唇が当てられた。驚いて名前を呼ぶ。
『…ゆ…』
「あれ?梢先輩じゃないですか!」
急に声がした。反射的に上を向く。妄想とおなじ顔が目の前に。
「…ゆう…」
「え?」
驚くゆうの顔…ばっちり目が合った。
「…うわ…」
ゆうの小さな声が聞こえた。
「っ!ゆうきゅん!」
急に現実に戻されて席から立ちあがった。なになに?本人じゃん。思わず声に出しちゃった。顔から血の気が引いて行くのが自分でもわかる。
「今、ゆうきゅんって?僕のことですか?」
ゆうきゅんが上目遣いに聞いてくる。何だよもう。かわいいなあ。
「いいえ、言ってません。それより文月くんはここにどうしたんですか。」
急に話題を変えてみた。いつもよりよくしゃべった、私。
「ぶっ!いきなり態度変わりすぎ。さっきから赤くなったり青くなったり、無表情になったり。」
「…」
「僕は取引先がここの近くなんですけど、直帰になったから寄ったんです。」
ああ。山之内書店。確かにこの近くだ。
「梢先輩がいるなんて偶然ですね。うれしいなあ。」
そう言いながら落ちた本を拾おうとする。
あっ!さっき立ち上がった時にかばんと本が下に落ちちゃったんだ。その本はだめ!
ゆきゅんが拾おうとしている本を取り上げかばんに急いで入れた。
「それでは。私は急いでいるので。お疲れさまでした。」
逃げるように店を出た。
「あ!梢先輩!待って」
そう彼が叫んだのを聞こえないふりをした。