腹黒王子の初恋
 ピンポーン

 呼び鈴が鳴った。

 よし。今日も暴走しない。強く心に刻む。まるで甘い拷問だなと苦笑した。

「文月くん!」
「優芽ちゃん、会いたかった。」

 扉を開けると優芽ちゃんが抱きついて来た。抱き締め返し髪に軽くキスを落とした。出会ったハナからかわいい先制攻撃。よし。よし。俺、落ち着いてる。優芽ちゃんが上目遣いに見上げてくる。もう一回髪にキスしようとしたら。

「おぉ。文月くんの部屋だ。綺麗!おじゃまします!」
「……」

 あっけなく横を通り過ぎて部屋に上がって行った。
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