腹黒王子の初恋
「おぉ~おいしそう!」

 優芽ちゃんが買ってきてくれたスイーツ達を見て笑みが漏れる。

「っていうか6つもあるんですけど。ははっ」
「私達なら食べれるよね。おいしそうでこんなに買っちゃった。わけっこして食べよ。文月くんどれにする?」
「ありがとうございます。じゃあ…このレアチーズケーキにしようかな。」
「それいいよね!文月くん絶対好きだと思った。私はコレ。はい、あーん。」

 ケーキの王道ショートケーキを一口すくって優芽ちゃんが俺の口の前に差し出した。お。コレ食べろってことだよな。ちょっと照れる。

「ん...うまい。」

 やわらかなスポンジと爽やかないちごと生クリームが口に広がった。ショートケーキがこんなにおいしいなら他のケーキも期待できる。

「じゃ、今度は優芽ちゃん。あーん。」
「えっ...」

 お返しに俺のレアチーズケーキを一口差し出す。さっきは全く照れていなかったのに食べさせられるのは照れるらしい。顔を赤くしている。

「ふふっ。早く。」
「......ん......味がよくわからない…緊張しちゃった」

 下を向いてはにかんでいる。ああ。もう!かわいすぎるかよ!俺は優芽ちゃんの頭をなでた。

「照れてますか?かわいいなぁ」
「そりゃぁ照れるよ。大好きな文月くんからのあーんだなんて...」
「ぐっ…」

 優芽ちゃんの可愛すぎる発言に俺は顔を赤くして横を向いた。優芽ちゃんは天然で俺の喜ぶことをさらっと言う。

「じゃあ、これ優芽ちゃんの分。」

 レアチーズケーキの半分を優芽ちゃんの皿に載せた。

「ありがとう。私のもどーぞ。」

 ああ。幸せだなあ。正直もっと触れたいけど、こうやって一緒にいるだけで幸せだ。俺たちはケーキを仲良く半分こして全部きれいに食べた。
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