腹黒王子の初恋
「おーい、優芽。待った?早いね。」
待ちに待った大親友の莉子(りこ)に抱き着く。
「莉子~。待ってたよ~」
「おおっ。どうしたの。もうすでにべろべろじゃん」
他に行くところもなく動揺しまくっていた私は先に入店。テーブルの上には焼き鳥盛り合わせとサラダ、空になったグラスが3杯。お酒がすすんでしまった。莉子は私の目の前に座った。
「莉子おつかれ~」
「おつかれ~」
二人で乾杯する。莉子はビールで私はカシスオレンジ。私はみかんやオレンジのような柑橘系が大好き。お酒も甘いものが好き。
「で、珍しくペース早いじゃん。何かあったの?」
莉子が鶏モモの焼き鳥を食べながら聞く。私はお酒が好きだけどあまり強くない。
「何かって特に何でもないっちゃあないけど。莉子に早く会いたくて~」
「よしよし、かわいいヤつめ。」
莉子が私の頭をなでる。
「なんかね~あのね~さっきカフェいったんだけど~ゆうきゅんがきて~」
「ゆうきゅんって、例の後輩くんね。カフェで会ったんだね。」
もうけっこう酔ってしまった私はうまく話せないけど、莉子が辛抱強く聞いてくれる。
「まさか本人かと思わないで、ゆうきゅんとか言っちゃったよ~」
「ほう。どういうこと?本人に優芽が?いつも呼んでる言い方で呼んじゃったってこと?」
「そう~本読みながら妄想してたから~急に現れるんだもん。どうしよう。」
「妄想中に急に話しかけられて思わず言っちゃったのか。」
「そうそう~」
莉子はビールを片手に話をうまくまとめる。お酒が体に回りすごくいい気分。このサバサバしてかっこいい大親友は山内莉子(やまうちりこ)。ミディアムボブの黒髪に少しつり目の大きな目。私の中学時代からの大好きな友達だ。
「別にいいじゃん。この際に仲良くなっちゃえば。」
「無理無理!あんなキラキラ王子と仲良くなるなんて!」
顔の前で大きく手を振る。想像しただけで恐ろしくて酔いが覚めそう。絶対無理!恥ずかしくて目も合わせられないのに~。
「泰晴みたいに仲良くなれるかもよ。優芽ももう少し交友関係広げたほうがいいよ。」
「イヤイヤ!私は莉子と泰晴が~いれば、じゅうぶん…こんな妄想変態女と仲良くしてくれる出来た人は泰晴しかいないって。」
「ぷっ!泰晴はそんな出来てない。泰晴大好きだな。」
「あー、どうしよう。ゆうきゅんにバレた~。」
私はカシスオレンジを飲み干し、またため息をつく。私なんかにゆうきゅん呼びされて嫌だろうな。月曜嫌だな…。
「優芽は自己評価低いなあ。こんなにかわいいのに。」
莉子が私の頭をなで、喉をゴロゴロする。
「へへっ」
なんか気持ちいい~だいぶ酔ってきたかも。
そんな時、泰晴が来た。
「おー、お疲れ。ごめん、ごめん。ちょっと遅れた。」
「わー、たいせい~お疲れ」
にへらと笑う私を見て泰晴が苦笑いをしながら隣に座った。
「なんだよ。もう出来上がってんのか。」
「今日、山之内書店に行ってきたんだね~ふぅ~」
「そうそう。ちょっと挨拶もかねて文月連れてった」
「は~ゆうきゅん…」
泰晴が莉子を見る。
「優芽、どうしたん?」
「さっきあそこのカフェ行ったみたいなんだけど、文月王子が来たんだって。それで妄想中だったときに急に声掛けられて思わずゆうきゅんって言っちゃったみたいだよ。」
「あ、そう。」
二人の声が遠くの方で聞こえる。視界がぐらぐらして気持ちい。ちょっと眠くなってきた。ちょうどいい所にある泰晴にもたれた。
「…何ニヤニヤしてんだよ…」
「別に~」
二人の会話が聞こえる。
「正直さ、文月王子の存在が気になってるでしょ。」
「……」
「優芽がこんなに一人に執着するの初めてだもんね。この前も優芽の素を見られてるし。急接近じゃない?」
「別に急接近ってほどじゃない。」
「ぶっちゃけ男から見て文月王子どうなの?」
「ゆうきゅんは最高だよ~。かわいいし~がんばってるし~妄想がさえ…」
「はいはい、わかってるから優芽はだまってて」
莉子にとめられた。ゆうきゅんの話なら私も一緒にしたいのに。
「王子の話はお腹いっぱいだって。そんなに好きなら泰晴に仲とりもってもらえばいいのに。世話役なんだから。」
莉子がニヤニヤして言う。泰晴は無言で苦笑い。
「紹介なんていらない。別に仲良くなりたいわけじゃないんだから。私は莉子と泰晴がいればいいの~」
私は泰晴に抱きついた。酔うと人肌が恋しい。
「おい、優芽。やめろって。もうコイツだめだ。俺送ってくわ。」
「えっ、まだ飲みたいのに」
泰晴が私を立たせ手を引く。
「いってら~、がんばれヘタレくん。」
「うっせーよ。」
ニヤニヤする莉子を置いて私たちは店を出た。
待ちに待った大親友の莉子(りこ)に抱き着く。
「莉子~。待ってたよ~」
「おおっ。どうしたの。もうすでにべろべろじゃん」
他に行くところもなく動揺しまくっていた私は先に入店。テーブルの上には焼き鳥盛り合わせとサラダ、空になったグラスが3杯。お酒がすすんでしまった。莉子は私の目の前に座った。
「莉子おつかれ~」
「おつかれ~」
二人で乾杯する。莉子はビールで私はカシスオレンジ。私はみかんやオレンジのような柑橘系が大好き。お酒も甘いものが好き。
「で、珍しくペース早いじゃん。何かあったの?」
莉子が鶏モモの焼き鳥を食べながら聞く。私はお酒が好きだけどあまり強くない。
「何かって特に何でもないっちゃあないけど。莉子に早く会いたくて~」
「よしよし、かわいいヤつめ。」
莉子が私の頭をなでる。
「なんかね~あのね~さっきカフェいったんだけど~ゆうきゅんがきて~」
「ゆうきゅんって、例の後輩くんね。カフェで会ったんだね。」
もうけっこう酔ってしまった私はうまく話せないけど、莉子が辛抱強く聞いてくれる。
「まさか本人かと思わないで、ゆうきゅんとか言っちゃったよ~」
「ほう。どういうこと?本人に優芽が?いつも呼んでる言い方で呼んじゃったってこと?」
「そう~本読みながら妄想してたから~急に現れるんだもん。どうしよう。」
「妄想中に急に話しかけられて思わず言っちゃったのか。」
「そうそう~」
莉子はビールを片手に話をうまくまとめる。お酒が体に回りすごくいい気分。このサバサバしてかっこいい大親友は山内莉子(やまうちりこ)。ミディアムボブの黒髪に少しつり目の大きな目。私の中学時代からの大好きな友達だ。
「別にいいじゃん。この際に仲良くなっちゃえば。」
「無理無理!あんなキラキラ王子と仲良くなるなんて!」
顔の前で大きく手を振る。想像しただけで恐ろしくて酔いが覚めそう。絶対無理!恥ずかしくて目も合わせられないのに~。
「泰晴みたいに仲良くなれるかもよ。優芽ももう少し交友関係広げたほうがいいよ。」
「イヤイヤ!私は莉子と泰晴が~いれば、じゅうぶん…こんな妄想変態女と仲良くしてくれる出来た人は泰晴しかいないって。」
「ぷっ!泰晴はそんな出来てない。泰晴大好きだな。」
「あー、どうしよう。ゆうきゅんにバレた~。」
私はカシスオレンジを飲み干し、またため息をつく。私なんかにゆうきゅん呼びされて嫌だろうな。月曜嫌だな…。
「優芽は自己評価低いなあ。こんなにかわいいのに。」
莉子が私の頭をなで、喉をゴロゴロする。
「へへっ」
なんか気持ちいい~だいぶ酔ってきたかも。
そんな時、泰晴が来た。
「おー、お疲れ。ごめん、ごめん。ちょっと遅れた。」
「わー、たいせい~お疲れ」
にへらと笑う私を見て泰晴が苦笑いをしながら隣に座った。
「なんだよ。もう出来上がってんのか。」
「今日、山之内書店に行ってきたんだね~ふぅ~」
「そうそう。ちょっと挨拶もかねて文月連れてった」
「は~ゆうきゅん…」
泰晴が莉子を見る。
「優芽、どうしたん?」
「さっきあそこのカフェ行ったみたいなんだけど、文月王子が来たんだって。それで妄想中だったときに急に声掛けられて思わずゆうきゅんって言っちゃったみたいだよ。」
「あ、そう。」
二人の声が遠くの方で聞こえる。視界がぐらぐらして気持ちい。ちょっと眠くなってきた。ちょうどいい所にある泰晴にもたれた。
「…何ニヤニヤしてんだよ…」
「別に~」
二人の会話が聞こえる。
「正直さ、文月王子の存在が気になってるでしょ。」
「……」
「優芽がこんなに一人に執着するの初めてだもんね。この前も優芽の素を見られてるし。急接近じゃない?」
「別に急接近ってほどじゃない。」
「ぶっちゃけ男から見て文月王子どうなの?」
「ゆうきゅんは最高だよ~。かわいいし~がんばってるし~妄想がさえ…」
「はいはい、わかってるから優芽はだまってて」
莉子にとめられた。ゆうきゅんの話なら私も一緒にしたいのに。
「王子の話はお腹いっぱいだって。そんなに好きなら泰晴に仲とりもってもらえばいいのに。世話役なんだから。」
莉子がニヤニヤして言う。泰晴は無言で苦笑い。
「紹介なんていらない。別に仲良くなりたいわけじゃないんだから。私は莉子と泰晴がいればいいの~」
私は泰晴に抱きついた。酔うと人肌が恋しい。
「おい、優芽。やめろって。もうコイツだめだ。俺送ってくわ。」
「えっ、まだ飲みたいのに」
泰晴が私を立たせ手を引く。
「いってら~、がんばれヘタレくん。」
「うっせーよ。」
ニヤニヤする莉子を置いて私たちは店を出た。