腹黒王子の初恋
『…んっ…』
『…はっ…』

 二人の吐息が静かなオフィスに響く。私は濡れた唇を拭いながら彼の顔を見る。赤く火照った顔にぞくっとする。

『文月せんぱーい、何ですかー?その顔。もっとほしいんですか?ふふっ』
『…っ!何言って…?』
『こんな夜遅くに私のところに来てるくせに知らないふりですかー?』

 私は床に先輩を押し倒して馬乗りになった。冷えたフロアが逆に気持ちいい。

『…俺は、ただメールの返事がないから、聞きに来ただけだって!降りろって」

 ますます赤くなる先輩がかわいい。

『ホントに降りていいんですかー?ここはもっとって望んでるみたいですけど?』
『…!!』

 先輩の爆発しそうなソコを優しく触る。

『……人来る…』

 先輩がびっくっと体を震わせ顔を背けてぼそっとと言った。

『話そらしたぁ。こっち向いて。』

 顔を鷲掴みしてで激しく唇を貪る。好きなくせに素直にならない文月先輩たまらないっ。

『ねぇ、やめていいの?』
『…くっ…』

 悔しそうに目を細めて私を睨み起き上がった。気づいたら今度は私が下に。ふふっ。そう来なくっちゃ。私はにやりと笑った。先輩の顔が近づいてくる。右手は太ももに優しく触れる。ぎこちないその手が愛しい。

 熱い夜は始まったばかり…


< 14 / 103 >

この作品をシェア

pagetop