腹黒王子の初恋
『文月くんのんでるぅ?』
『あ、T先輩。今日は誘ってくださりありがとうございます。あ、お注ぎしますね。』
『ありがとう。わたし、文月くんとなかよくなりたかったんだぁ。』
『光栄です。まだまだ未熟ですのでいろいろ教えてください。』
『ふふっ。わたしでよければ。あ、文月くんにもつぐねっ…あっ』
『おっと…』
『ごめんねぇ。こぼしちゃった!よっちゃったのかなぁ。すぐふくね』
『…んっ…そこはちょっと…』
『あっ!ごめんねぇ。…ちょっとげんきになってるょ…やだぁ』
『だって、Tさんいい匂いするし、近い…』
二人の視線が絡まり…自然と顔が近づいて行く…
うほほっ。なんちゃってー!Tさんすみません。なんかちょっと悪女っぽく妄想しちゃいました。飲み会かあ。酒飲んだゆうきゅんも色気が出ていい…
「…い!おい!優芽?」
「…!!」
やば!またトリップしてた。泰晴が肩をつついていた。
「また妄想してたんだろ。」
泰晴が小声で耳打ちする。
「ふふっ、ちょっとね」
私も小声で耳打ちする。
「もー!二人で何話してるんですか?僕だけ仲間外れですか?」
「ごめんごめん。」
拗ねた表情のゆうきゅんもたまりません。
「さっき妄想って聞こえたんですけど」
ゆうきゅんの言葉にドキリとする。
「梢先輩って妄想好きですよね!もしかして僕で妄想してたんじゃないですかー?ははっ」
「ひっ!ごめんなさい!」
私は思いっきり頭を下げた。やっぱりバレてた…会社であの場所で泰晴と話してるのを聞かれてた!
「えっ?マジですか。僕冗談のつもりで…」
えっ。冗談だったの?ゆうきゅんが驚いてこっちを見ている。やっちまったー!
「ホントすみません。私なんかに妄想されて気持ち悪いですよね。ホントにすみません。」
焦って早口になった。
「やや、大丈夫ですよ。頭上げてください。」
「気休めですけど、Tさんとか営業のIさんとか綺麗な人と妄想してますから。私ではありませんから安心してください!」
「え?そうなんですか。」
ん?どういうこと?どんな表情?やっぱり気持ち悪いよね。怒ってるよね。
「全然大丈夫ですよ。自慢じゃないですけど、僕慣れてますから!妄想されるの!」
「え?」
「間違えた。ちょっと自慢です!ふふっ」
ゆうきゅんがいたずらっぽく笑った。
「怒ってないですか。」
「全然。どんどん妄想してください。だから僕とも仲良くしてくださいね。」
「あ、ありがとうございます!」
やったー!本人の了解もらっちゃった。やっぱり天使!下を向きながらガッツポーズ。
「あ、言うの忘れてました。僕例の本家に置いてきてたんですよね。また今度渡しますね。」
はっ…一気に現実に戻された。そうだった。喜んでる場合じゃない。大きな問題が残ってたんだった。本家に置いてきただって…?何のためにランチ一緒にしたのか。
「すみません。持ってきたと思ったんですけど、さっきないことに気づいて…」
「文月…」
泰晴が軽くゆうきゅんを睨む。
「また今度渡したいのでLIME教えてもらえますか。会社のメールだとめんどいんで。」
「文月、俺に連絡すればいいよ。」
「わざわざ辻先輩を通すのも悪いので僕が直接連絡しますよ。ありがとうございます。」
「でも...」
泰晴が気を使ってくれている。
「だめですか?梢先輩…?」
うっ。
ゆうきゅんのおねだり顔、破壊力ある~っ!にやけそうになるのをこらえて無表情を作りながら考える。
確かにLIMEの方が楽だよね。社外でも見られるし。会って話すわけでもないし、私もLIMEのがいいかも。どうせ本の連絡以外しないだろうし。
「わかりました。こちらこそお願いします。」
こうして私たちはLIME交換したのだった。
『あ、T先輩。今日は誘ってくださりありがとうございます。あ、お注ぎしますね。』
『ありがとう。わたし、文月くんとなかよくなりたかったんだぁ。』
『光栄です。まだまだ未熟ですのでいろいろ教えてください。』
『ふふっ。わたしでよければ。あ、文月くんにもつぐねっ…あっ』
『おっと…』
『ごめんねぇ。こぼしちゃった!よっちゃったのかなぁ。すぐふくね』
『…んっ…そこはちょっと…』
『あっ!ごめんねぇ。…ちょっとげんきになってるょ…やだぁ』
『だって、Tさんいい匂いするし、近い…』
二人の視線が絡まり…自然と顔が近づいて行く…
うほほっ。なんちゃってー!Tさんすみません。なんかちょっと悪女っぽく妄想しちゃいました。飲み会かあ。酒飲んだゆうきゅんも色気が出ていい…
「…い!おい!優芽?」
「…!!」
やば!またトリップしてた。泰晴が肩をつついていた。
「また妄想してたんだろ。」
泰晴が小声で耳打ちする。
「ふふっ、ちょっとね」
私も小声で耳打ちする。
「もー!二人で何話してるんですか?僕だけ仲間外れですか?」
「ごめんごめん。」
拗ねた表情のゆうきゅんもたまりません。
「さっき妄想って聞こえたんですけど」
ゆうきゅんの言葉にドキリとする。
「梢先輩って妄想好きですよね!もしかして僕で妄想してたんじゃないですかー?ははっ」
「ひっ!ごめんなさい!」
私は思いっきり頭を下げた。やっぱりバレてた…会社であの場所で泰晴と話してるのを聞かれてた!
「えっ?マジですか。僕冗談のつもりで…」
えっ。冗談だったの?ゆうきゅんが驚いてこっちを見ている。やっちまったー!
「ホントすみません。私なんかに妄想されて気持ち悪いですよね。ホントにすみません。」
焦って早口になった。
「やや、大丈夫ですよ。頭上げてください。」
「気休めですけど、Tさんとか営業のIさんとか綺麗な人と妄想してますから。私ではありませんから安心してください!」
「え?そうなんですか。」
ん?どういうこと?どんな表情?やっぱり気持ち悪いよね。怒ってるよね。
「全然大丈夫ですよ。自慢じゃないですけど、僕慣れてますから!妄想されるの!」
「え?」
「間違えた。ちょっと自慢です!ふふっ」
ゆうきゅんがいたずらっぽく笑った。
「怒ってないですか。」
「全然。どんどん妄想してください。だから僕とも仲良くしてくださいね。」
「あ、ありがとうございます!」
やったー!本人の了解もらっちゃった。やっぱり天使!下を向きながらガッツポーズ。
「あ、言うの忘れてました。僕例の本家に置いてきてたんですよね。また今度渡しますね。」
はっ…一気に現実に戻された。そうだった。喜んでる場合じゃない。大きな問題が残ってたんだった。本家に置いてきただって…?何のためにランチ一緒にしたのか。
「すみません。持ってきたと思ったんですけど、さっきないことに気づいて…」
「文月…」
泰晴が軽くゆうきゅんを睨む。
「また今度渡したいのでLIME教えてもらえますか。会社のメールだとめんどいんで。」
「文月、俺に連絡すればいいよ。」
「わざわざ辻先輩を通すのも悪いので僕が直接連絡しますよ。ありがとうございます。」
「でも...」
泰晴が気を使ってくれている。
「だめですか?梢先輩…?」
うっ。
ゆうきゅんのおねだり顔、破壊力ある~っ!にやけそうになるのをこらえて無表情を作りながら考える。
確かにLIMEの方が楽だよね。社外でも見られるし。会って話すわけでもないし、私もLIMEのがいいかも。どうせ本の連絡以外しないだろうし。
「わかりました。こちらこそお願いします。」
こうして私たちはLIME交換したのだった。