腹黒王子の初恋
腹黒王子の戸惑い
 あ、ゆうきゅんだ。廊下を歩いて行く姿を目で追う。

 はー。溜息が出る。

 あのベロベロに酔ってゆうきゅんに醜態を見せた日からLIMEがパタリと来なくなった。今日は月曜だから3日目か。今までは毎日来てたのに。机の下で見えないように携帯を開く。


【今日はお疲れさまでした。結構飲んでましたが、大丈夫ですか?週末はゆっくり休んでくださいね。】

 これが最後のメッセージだ。何回開いてみても新しいメッセージはなし。

 あの夜飲みすぎて記憶は曖昧。何か絶対しでかしてる!怖くて返事を送れないでいる。そのせいなのかあれ以来LIMEがピタリと来なくなってしまった。

 はー。何度目かの溜息。嫌われたのかな。

 本も返してもらうの忘れちゃったし。

印刷物届けに行ってもいつも通り。いや、いつも通りだから笑顔でやさしい雰囲気のゆうきゅんだよ。いつも通り。なのになんでこんなにひっかかるんだろ。

前はもう少し話してくれたようなとか。もっと甘い笑顔を見せてくれたようなとか。

飲み会の記憶は所々ないけど、ゆうきゅんのとろけるような甘い笑顔や引きつった硬い表情だけは鮮明に残ってる。

あーもう!私どうしちゃったんだろ。たかが3日LIMEが来てないだけなのに。ゆうきゅんのことばかり考えてる。
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