腹黒王子の初恋
「…ヤバい…やっぱり好きだ」
「えっ?」

 ゆうきゅんが私の肩に頭をもたれてきた。肩に心地いい重みがかかる。一気に体半分が熱くなった。かっちんこっちんに固まった私を気にしないでゆうきゅんが独り言のように話す。

「先輩~、大好きです。」
「…」

 思考停止状態。

 スキ?

 どういう意味?

「俺、結構わかりやすく態度に現わしてたと思いますけど、全然気づいてなかったですよね。はー。いろいろあの手この手使ってこっち向かせようとしてたけど…もう、いろいろ考えるのつかれちゃった…こんなに好きになるとは思わなかったなぁ…予想外。」

 ゆうきゅんが両手で顔を覆う。そんな様子を私は他人事のように見つめていた。なんだか非現実にいる感覚。夢の中というか。

「この数日間LIME送らなかったり、会ってもあまり話さなかったですよね。気を引こうとわざとしてたんですよ。」

 え?アレわざとだったの?むっちゃ気になってたよ!ゆうきゅんの考え通りすごく気を引かれてましたけど。すごいな…

「正直もっと距離置こうかと思ったけど、無理でした…だって会いたいし、話したいし、おかしくなりそうだった…」

 ゆうきゅんが私の方に向いた。初めて見る熱のこもった真剣な顔。どきんと私の胸が大きく音がした。ゆうきゅんの視線から目を外せない。

「ねぇ、先輩。俺、いろいろ考えるの疲れちゃった。これからは好きなようにするから。どうしたら好きになってくれる?教えてよ…」
「…あ…う…」

 言いたいのに何を言ったらいいかわからないし、声がでない。ただずっと目を逸らさずにいると…

< 36 / 103 >

この作品をシェア

pagetop