腹黒王子の初恋
腹黒王子の崩壊
あの偽カップルカフェデート?から数週間、ゆうきゅんといろいろなところに出かけた。平日のお昼休みにランチしたり、仕事終わりに夕食食べたり。ちょっとお酒飲んだり。1回また水族館にも行ったっけ。まだドキドキするけど、だいぶ話せるようになった気がする。それに一緒にいるとすごく楽しい。
「文月くん!」
「ん?」
きょろきょろしてる。声が小さかったかな。
「文月くん!こっちこっち。」
「あ!おはようございます。」
「おはよう。」
ゆうきゅんが日だまりみたいな笑顔を向けてくれる。ああ。癒される。
「こんなところで何してるんですか。かくれんぼ?ふふっ。」
ハイ。私、駅構内の広告チラシ置き場の影に隠れてました。
「ちょっと泰晴待ってて。」
「ん?辻先輩を?」
ゆうきゅんが笑顔のまま言う。
「なんで?」
笑顔のまま。
「…っと。社員証渡そうと思って…」
「なんで?」
まだ笑顔。なんだかしどろもどろになってきた。
「…昨日私の家に置いてったから…?」
「…なんで?」
うっ。笑顔なのに怖いんですけど。
「なんででしょう…?」
「はぁぁぁーーーっ」
大きな溜息をつかれた。沈黙が怖いよ。
「辻先輩が遊びに来たんですね。」
「う…うん」
ゆうきゅんが一歩二歩近づいてきた。ち、近いよ。
「ねぇ、優芽ちゃん。何でそんなに気軽に他の男家に上げるんですか。」
「でも、泰晴だし。」
「辻先輩が一番危ないって。」
「ねぇ。俺、優芽ちゃんがよくわからないよ。」
「え?」
すごくつらそうな顔して私を見つめる。
「最近いろいろ遊びに行ってくれるし、笑顔も見せてくれるし、期待しちゃいますよ。でもこうやっていとも簡単に落とすんですね。わざとですか?」
ふわっとゆうきゅんの香がする。私の肩にゆうきゅんが頭をうずめる。えっと。どういうことだろう。これって。まさか。前言ってたこと本気?一つの答えに行きつくけど…そんなまさか。でも、ゆうきゅんの表情を見るとそうなのかなって。いや、でも…どうしようと混乱していると。
「すみません。優芽ちゃんが悪いわけじゃないのに。俺先行きます。」
顔を見せずに行ってしまった。
「優芽。おはよ」
「あ…泰晴…おはよう」
「悪いな。社員証…って顔真っ赤だぞ。どうした?」
「えっ?ど…?何にもないよっ!」
「そうか?行くぞ」
「先行って!」
「何だよ。」
「いいから先行ってって。泰晴とは一緒にいるのを見られたくないから。」
「前は一緒に行っただろうが。」
「いいから。先行ってってば。」
「わかったよ。先行くから。これありがとな。」
社員証を一度上に持ち上げて泰晴は先に行った。
「はあああーーっ」
私は大きな溜息をつきながらその場にしゃがみこんだ。胸が激しく音を立てる。もう、よくわからないよ。ゆうきゅんも。私自身も。この胸がいっぱいできゅっとなる感じは何だろう。叫びたくなる感じは何だろう。
「文月くん!」
「ん?」
きょろきょろしてる。声が小さかったかな。
「文月くん!こっちこっち。」
「あ!おはようございます。」
「おはよう。」
ゆうきゅんが日だまりみたいな笑顔を向けてくれる。ああ。癒される。
「こんなところで何してるんですか。かくれんぼ?ふふっ。」
ハイ。私、駅構内の広告チラシ置き場の影に隠れてました。
「ちょっと泰晴待ってて。」
「ん?辻先輩を?」
ゆうきゅんが笑顔のまま言う。
「なんで?」
笑顔のまま。
「…っと。社員証渡そうと思って…」
「なんで?」
まだ笑顔。なんだかしどろもどろになってきた。
「…昨日私の家に置いてったから…?」
「…なんで?」
うっ。笑顔なのに怖いんですけど。
「なんででしょう…?」
「はぁぁぁーーーっ」
大きな溜息をつかれた。沈黙が怖いよ。
「辻先輩が遊びに来たんですね。」
「う…うん」
ゆうきゅんが一歩二歩近づいてきた。ち、近いよ。
「ねぇ、優芽ちゃん。何でそんなに気軽に他の男家に上げるんですか。」
「でも、泰晴だし。」
「辻先輩が一番危ないって。」
「ねぇ。俺、優芽ちゃんがよくわからないよ。」
「え?」
すごくつらそうな顔して私を見つめる。
「最近いろいろ遊びに行ってくれるし、笑顔も見せてくれるし、期待しちゃいますよ。でもこうやっていとも簡単に落とすんですね。わざとですか?」
ふわっとゆうきゅんの香がする。私の肩にゆうきゅんが頭をうずめる。えっと。どういうことだろう。これって。まさか。前言ってたこと本気?一つの答えに行きつくけど…そんなまさか。でも、ゆうきゅんの表情を見るとそうなのかなって。いや、でも…どうしようと混乱していると。
「すみません。優芽ちゃんが悪いわけじゃないのに。俺先行きます。」
顔を見せずに行ってしまった。
「優芽。おはよ」
「あ…泰晴…おはよう」
「悪いな。社員証…って顔真っ赤だぞ。どうした?」
「えっ?ど…?何にもないよっ!」
「そうか?行くぞ」
「先行って!」
「何だよ。」
「いいから先行ってって。泰晴とは一緒にいるのを見られたくないから。」
「前は一緒に行っただろうが。」
「いいから。先行ってってば。」
「わかったよ。先行くから。これありがとな。」
社員証を一度上に持ち上げて泰晴は先に行った。
「はあああーーっ」
私は大きな溜息をつきながらその場にしゃがみこんだ。胸が激しく音を立てる。もう、よくわからないよ。ゆうきゅんも。私自身も。この胸がいっぱいできゅっとなる感じは何だろう。叫びたくなる感じは何だろう。