腹黒王子の初恋
 すごくゆうきゅんの顔が見たくなった。どんな気持ちで私なんかに気持ちをぶつけてくれるの?どんな顔してるの?

 私はゆうきゅんの肩に触れた。

「……」

 ゆうきゅんはだまったまま全く動かなかった。

 心臓の音が耳からこぼれそうになるのを感じながら少しずつ顔を近づけゆうきゅんの耳に口づけた。

「…は?」

 ゆうきゅんは思いっきり顔を上げて耳を押さえたまま私を見た。

「…え?」

 あ。やっと顔が見れる。驚きで目を開きほんのり赤く染まっていた。彼の全く余裕のない素の表情を見たら心臓を鷲掴みされたようにぎゅっと苦しくなった。

 触れたい。

 やたら心臓がうるさいなぁと冷静に思いながら私はゆうきゅんの瞳に移る自分を見ながらそっと唇に口づけた。

 ゆうきゅんが息を飲むのがわかった。固まっている。

「…え?…何?」

 急に両肩を掴まれて離された。

「…ちょっと…やば」
「…えっ…!」

 ゆうきゅんの呟きに私は我に返った。へ?今私何した?

「え?え?ご!ごめん!」

 ゆうきゅんから距離をとった。

「私、な、なにしてんだ…?ご、ごめ…」

 パニックになった私はその場を去ろうと立ち上がろうとした。
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