腹黒王子の初恋
「あ。泰晴。」
声のする方を振り向いた。泰晴がドアの前で眉をひそめて立っていた。
「どうした?文月も様子変だったけど…」
「…えっ?」
私は思わず唇を触った。ゆうきゅんの顔が思い出されてまた一気に顔が赤くなった。
「な、何でもないよっ」
泰晴が近づいてきて私の頬に優しく触れた。
「何でもないって顔じゃないけど?」
泰晴が私の目をのぞき込む。泰晴の顔を見ていたら胸の中にあるいろんなものが爆発しそうになった。なんか、もう、一人で抱えきれない。
「た、たいせい~!どうしよう私!キスしちゃった!」
「は?キス?」
泰晴はさっき以上に眉をひそめた。
「…文月と?」
「う、うん!あああああ~どうしよう。私おかしくなりそう」
泰晴の空気感が一気に変わった。今まで見たことない感情が一切抜け落ちた顔。
「…アイツ…」
え?泰晴むちゃくちゃ怒ってる?扉の方に向きを変えた泰晴の腕を捕まえた。何をしでかすかわからない雰囲気。
「まって!違う!私からしたの!」
「は?」
「最初私がしたの。」
「…優芽?」
「勝手に体が動いてしちゃってたの!私絶対おかしいよ…」
「…」
一度話し出したら滝のように言葉があふれだした。
「2回もしちゃった!ゆうきゅんの顔見たらすっごく触れたくなって…どうしよう泰晴!私本物の変態だよ。そしたらゆうきゅんが!あわわわわ~!何アレ?やば!夢とは全然違う!夢だとゆうきゅんが私に…ふわっと。ホントのキスはんうぅぅ~~~!!って感じ。全然違う!泰晴もしたことあるんでしょ?みんなあんなことしてるの?無理無理!心臓壊れそう!」
「…え?…夢?」
「うん?夢?」
泰晴が変な所を聞き返してきた。
「優芽、自分と文月の夢見るのか?」
「そうなのよ!夢も妄想も…磨きがかかちゃって。ますます変態まっしぐらだよ…」
「そうか…はぁ~。今まで自分で妄想することなんてなかったのにな。」
「はっ!本当だ…」
気づかなかった。自分とのことを妄想するなんて…恥ずかしすぎる。ゆうきゅんに申し訳ない。でも、何で急にこうなったんだろう。
ふとゆうきゅんの私を見つめるとろけそうな顔が浮かんだ。まさに大好きだよって言ってるような。その顔を見ると胸がいっぱいになってすごくうれしい。会社では見せないちょっと意地悪な顔を見れると優越感でうれしい。会えないと会いたくて、会えたらうれしい。
「ねぇ。泰晴?最近私、ゆうきゅんのことばかり考えてるの。会えないとすごく会いたいし、笑顔を見るとすごくうれしいし、会ってもドキドキしてうまく話せないのに会いたいの。さっきのキスだって全然嫌じゃなかった。むしろ…」
もう自分の気持ちに答えが出た気がする。私にとっての初めての。気づくのにすごく時間がかかっちゃった。
「これってゆうきゅんのこと…」
答えを言おうとしたその瞬間、泰晴にぎゅっと抱き締められた。
「違う。違うよ、優芽。あまり深く考えるな。お前告白されたのも初めてだろ?俺以外の男と仲良くなったのも初めてだろ?だからちょっと勘違いしてんだよ。」
「勘違い?…なの?違…」
「俺と付き合おう!」
泰晴がさらにきつく抱き締めながら言った。
「え?」
どこに?なんてありがちな質問が浮かんだ。泰晴の切羽詰まった様子から何だかその質問を口にできなかった。
「…好きだ」
耳元で苦しそうにささやいた。吐息が当たりドキリとした。
好き?泰晴が?私を?
「出会った時からずっと好きだった。俺たち絶対うまくいく。付き合おう。」
「え?ちょっと待って。私も泰晴好きだよ?でも、付き合うって…」
「俺、優芽のことすげー好きなんだよ。全然気づいてなかっただろうけど。ホントはずっと言いたかった。もう友達だなんて足りないんだ。」
泰晴の突然の告白に頭がついていかない。ずっと大切で大事な大好きな友達。その彼が私を?
「信じられない…」
体を離し真剣な表情で私の顔を両腕で掴む。そして、親指で私の唇を触った。いつもとは違う泰晴に混乱してしまう。
「先越された。嫉妬で狂いそうなんだけど。キスしよ?」
顔が近づいてくる。
「ちょっと!待って!」
私は泰晴の胸を思い切り押した。
「何で?」
思いっきりムッとして言われた。何でって。おかしいでしょ。泰晴がおかしい。
「いやいや、しないでしょ。」
「アイツとしたじゃん。くそ。ありえない。」
「ゆうきゅんと泰晴は違うでしょ。だって、私はゆうきゅんが…」
「文月には渡さない。絶対。」
また泰晴が抱き締めてきた。
「ちょ…痛いよ。」
「だから、勘違いだって。俺にしろよ。もう友達だなんて無理だ。優芽が文月を選ぶなら俺はもう縁切る。近くで二人を見るなんてキツすぎる。」
「え?」
縁切る?鈍器で殴られたような衝撃が体に走った。
「もう話さないし、会わない。」
「……」
「誰かと付き合うってそういうもんだろ。他に男がいるのに今まで通りだなんて無理なんだよ。」
「…たい…せい…」
声がかすれる。
「優芽、お前が選べ。俺か文月か。」
選べって。そんなの。考えるまでもない…私には離れるなんて無理だから。
声のする方を振り向いた。泰晴がドアの前で眉をひそめて立っていた。
「どうした?文月も様子変だったけど…」
「…えっ?」
私は思わず唇を触った。ゆうきゅんの顔が思い出されてまた一気に顔が赤くなった。
「な、何でもないよっ」
泰晴が近づいてきて私の頬に優しく触れた。
「何でもないって顔じゃないけど?」
泰晴が私の目をのぞき込む。泰晴の顔を見ていたら胸の中にあるいろんなものが爆発しそうになった。なんか、もう、一人で抱えきれない。
「た、たいせい~!どうしよう私!キスしちゃった!」
「は?キス?」
泰晴はさっき以上に眉をひそめた。
「…文月と?」
「う、うん!あああああ~どうしよう。私おかしくなりそう」
泰晴の空気感が一気に変わった。今まで見たことない感情が一切抜け落ちた顔。
「…アイツ…」
え?泰晴むちゃくちゃ怒ってる?扉の方に向きを変えた泰晴の腕を捕まえた。何をしでかすかわからない雰囲気。
「まって!違う!私からしたの!」
「は?」
「最初私がしたの。」
「…優芽?」
「勝手に体が動いてしちゃってたの!私絶対おかしいよ…」
「…」
一度話し出したら滝のように言葉があふれだした。
「2回もしちゃった!ゆうきゅんの顔見たらすっごく触れたくなって…どうしよう泰晴!私本物の変態だよ。そしたらゆうきゅんが!あわわわわ~!何アレ?やば!夢とは全然違う!夢だとゆうきゅんが私に…ふわっと。ホントのキスはんうぅぅ~~~!!って感じ。全然違う!泰晴もしたことあるんでしょ?みんなあんなことしてるの?無理無理!心臓壊れそう!」
「…え?…夢?」
「うん?夢?」
泰晴が変な所を聞き返してきた。
「優芽、自分と文月の夢見るのか?」
「そうなのよ!夢も妄想も…磨きがかかちゃって。ますます変態まっしぐらだよ…」
「そうか…はぁ~。今まで自分で妄想することなんてなかったのにな。」
「はっ!本当だ…」
気づかなかった。自分とのことを妄想するなんて…恥ずかしすぎる。ゆうきゅんに申し訳ない。でも、何で急にこうなったんだろう。
ふとゆうきゅんの私を見つめるとろけそうな顔が浮かんだ。まさに大好きだよって言ってるような。その顔を見ると胸がいっぱいになってすごくうれしい。会社では見せないちょっと意地悪な顔を見れると優越感でうれしい。会えないと会いたくて、会えたらうれしい。
「ねぇ。泰晴?最近私、ゆうきゅんのことばかり考えてるの。会えないとすごく会いたいし、笑顔を見るとすごくうれしいし、会ってもドキドキしてうまく話せないのに会いたいの。さっきのキスだって全然嫌じゃなかった。むしろ…」
もう自分の気持ちに答えが出た気がする。私にとっての初めての。気づくのにすごく時間がかかっちゃった。
「これってゆうきゅんのこと…」
答えを言おうとしたその瞬間、泰晴にぎゅっと抱き締められた。
「違う。違うよ、優芽。あまり深く考えるな。お前告白されたのも初めてだろ?俺以外の男と仲良くなったのも初めてだろ?だからちょっと勘違いしてんだよ。」
「勘違い?…なの?違…」
「俺と付き合おう!」
泰晴がさらにきつく抱き締めながら言った。
「え?」
どこに?なんてありがちな質問が浮かんだ。泰晴の切羽詰まった様子から何だかその質問を口にできなかった。
「…好きだ」
耳元で苦しそうにささやいた。吐息が当たりドキリとした。
好き?泰晴が?私を?
「出会った時からずっと好きだった。俺たち絶対うまくいく。付き合おう。」
「え?ちょっと待って。私も泰晴好きだよ?でも、付き合うって…」
「俺、優芽のことすげー好きなんだよ。全然気づいてなかっただろうけど。ホントはずっと言いたかった。もう友達だなんて足りないんだ。」
泰晴の突然の告白に頭がついていかない。ずっと大切で大事な大好きな友達。その彼が私を?
「信じられない…」
体を離し真剣な表情で私の顔を両腕で掴む。そして、親指で私の唇を触った。いつもとは違う泰晴に混乱してしまう。
「先越された。嫉妬で狂いそうなんだけど。キスしよ?」
顔が近づいてくる。
「ちょっと!待って!」
私は泰晴の胸を思い切り押した。
「何で?」
思いっきりムッとして言われた。何でって。おかしいでしょ。泰晴がおかしい。
「いやいや、しないでしょ。」
「アイツとしたじゃん。くそ。ありえない。」
「ゆうきゅんと泰晴は違うでしょ。だって、私はゆうきゅんが…」
「文月には渡さない。絶対。」
また泰晴が抱き締めてきた。
「ちょ…痛いよ。」
「だから、勘違いだって。俺にしろよ。もう友達だなんて無理だ。優芽が文月を選ぶなら俺はもう縁切る。近くで二人を見るなんてキツすぎる。」
「え?」
縁切る?鈍器で殴られたような衝撃が体に走った。
「もう話さないし、会わない。」
「……」
「誰かと付き合うってそういうもんだろ。他に男がいるのに今まで通りだなんて無理なんだよ。」
「…たい…せい…」
声がかすれる。
「優芽、お前が選べ。俺か文月か。」
選べって。そんなの。考えるまでもない…私には離れるなんて無理だから。