腹黒王子の初恋
「…っ文月くん!」

 次の日。廊下を行く文月くんに話しかけた。

「…おはようございます。梢先輩。」

 とってつけたような笑顔に胸がドキリと嫌な音がした。

 いきなり分厚い壁を感じた。

「あ、あの…多く発注しちゃったのって、どうなった?大丈夫?」

 おそるおそる話かけた。

「えっ?ああ。辻先輩に聞いたんですね。大丈夫です。先輩は気にしないでください。」

 にこっといつも通りのかわいい笑顔で言われた。さらっと線を引かれたようだ。それだけ言って去ろうとする。

「待って!」

 思わず話しかけてしまった。

「えっと…昨日のことだけど…ちゃんと話たくて…」
「昨日?何のことですか?それじゃ。」

 無理やり会話を終わらせゆうきゅんは去って行った。
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