腹黒王子の初恋
タクシーで病院から家まで泰晴に送ってもらい、アパートの自分の部屋に行くと予想もしない人がいて目を見張った。
「…文月くん…」
「優芽ちゃん!」
私の呟きに気づくとゆうきゅんが駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
本当に心配しているとわかる顔で覗きこんでくる。私が何も反応できないでいると
「ねぇ、大丈夫?」
もう一度聞かれた。
ゆうきゅんだ。ゆうきゅんだ。会いたかったゆうきゅんだ。あんなに気持ちを抑え込んでいたのがウソみたいだ。一度認めてしまうともう気持ちがとめどなくあふれしまう。
冷たかったゆうきゅんがこんなに私のことを心配してくれてる。いつもの優しいゆうきゅんだ。ああ。嬉しい。ゆうきゅんが前のように接してくれる。本当はこうやって話したかった。そばにいてほしかった。ゆうきゅん。ゆうきゅん...
「うっ...ぐっふ...」
感情が高ぶり涙があふれ嗚咽が漏れた。
「え?どうしたの?どこか痛いの...?」
「…ゆうきゅん...すき...」
思わず言ってしまった。
「………………え?…………は?」
ゆうきゅんが長い沈黙の後、驚いて目を見開いた。
「え?ちょ?どういう...」
「文月くん、好き」
「……」
またも沈黙。ああ。またやっちゃった。失敗。でも、黙っていられなかった。他に好きな人がいる人にとって迷惑かもしれないけど言わずにいられなかった。
「急にごめんね。彼女いるのに。迷惑かもしれないけど、思わず言っちゃった。ごめん。」
「…は?彼女?迷惑?」
「詩織さんが彼女でしょ。」
「いや、彼女じゃないし。っていうか、ちょっと待って。え?俺の事好きって言いました?」
顔が少し赤くなっている。また言わせるの?さすがに恥ずかしいんだけど。私は少し視線を外して言った。
「う...ん。文月くんがす.....うわっ」
最後まで言い終わらないうちに抱き締められた。
「やっと認めた...はっ!でも、友達としてってことじゃないですよね?」
抱き締めていた腕を解いて肩に移動させた。心配そうな顔でのぞき込まれる。いつもの余裕の表情ではなくきゅんとして、やっぱり好きだなと思った。
何でこんな顔するんだろう。私の気持ちは迷惑じゃないのかな。小さな期待と困惑が胸に広がる。
「…友達としてじゃないよ。ただ言いたかっただけだから、気にしないで。」
やっと認められた私の初恋。ただ今はこの気持ちを大切にしたい。
「マジで?やった!」
またゆうきゅんに抱き締められた。
「やっと俺のとこに来た...」
嬉しそうにつぶやく声に混乱する。
「あ…の...?喜んでるの?詩織さんは...?」
「え?詩織?何で?」
「付き合ってるんじゃないの?キスしてたし…」
「あぁ。忘れてた。あれは詩織が無理やりしてきただけです。」
「え?」
忘れてたってどういうこと?あんなのを忘れるもの?私の頭は疑問でいっぱいだ。
「でも、さっき詩織さんとレストランにいたでしょ。」
「詩織、彼氏いるから。彼が仕事でイブに一人が寂しいっていうから友達としてごはん食べようと思っただけですよ。」
「……」
納得しない私をちらりとゆうきゅんが見る。
「詩織が予約取ったとか言う店に行ったら恋人と行くような店だったから辞めようと思ってたんですよ。」
そういえば入り口でなんか言い合ってたような。
「だから、俺と詩織は付き合ってない。優芽ちゃんは心配しなくて大丈夫です。」
「でも…」
「俺はずっと優芽ちゃんが好きです。」
照れたようにはっきり言われて顔が真っ赤に染まった。
「で、でも…ずっと呼び捨てで仲よさそう......」
自分の口から出た言葉に自分で驚いて顔がさらにゆでだこのようになった。は、恥ずかしすぎる。こんなことでヤキモチ焼くなんて。ずっと気になってたことがポロリと口から出た。
「はー。なにそれ。何てこと言うの?」
え?溜息?うっ。面倒くさいよね。
ゆうきゅんがやさしく抱き締めた。
「かわいすぎること言わないでください。もうあの人とは会わないので大丈夫です。俺には優芽ちゃんだけです。信じて。」
甘くささやかれてそれだけでとろけそうになる。好きな人に抱き締められて優しくささやかれるってすごい。
「…うん…」
かろうじて返事をすると。またゆうきゅんの溜息が聞こえた。
「あー。優芽ちゃんにもっと触れたい。」
「え?」
声が小さくて聞き取れなかった。
「僕、寒いんですけど、部屋入れてもらえませんか?」
子犬のようにおねだりされてまたもきゅんとさせられた。
「あっ!ごめん!寒いよね。ずっと待っててくれたのに。」
急いで鍵をあけた。ガチャという音と同時にゆうきゅんが私の手を引っ張りドアを開けた。そしてすぐ片手で鍵を閉めた。状況について行けずゆうきゅんを見上げると、ドアを背に私は閉じ込められた。
すぐ目の前にゆうきゅんの顔があり目を見開いた。色素の薄いダークブラウンの瞳が熱を持って私を見つめている。
私は思わず喉をならした。
目を細め少しずつ近づいてくるのがわかり、私も思わず目を閉じた。
「…文月くん…」
「優芽ちゃん!」
私の呟きに気づくとゆうきゅんが駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
本当に心配しているとわかる顔で覗きこんでくる。私が何も反応できないでいると
「ねぇ、大丈夫?」
もう一度聞かれた。
ゆうきゅんだ。ゆうきゅんだ。会いたかったゆうきゅんだ。あんなに気持ちを抑え込んでいたのがウソみたいだ。一度認めてしまうともう気持ちがとめどなくあふれしまう。
冷たかったゆうきゅんがこんなに私のことを心配してくれてる。いつもの優しいゆうきゅんだ。ああ。嬉しい。ゆうきゅんが前のように接してくれる。本当はこうやって話したかった。そばにいてほしかった。ゆうきゅん。ゆうきゅん...
「うっ...ぐっふ...」
感情が高ぶり涙があふれ嗚咽が漏れた。
「え?どうしたの?どこか痛いの...?」
「…ゆうきゅん...すき...」
思わず言ってしまった。
「………………え?…………は?」
ゆうきゅんが長い沈黙の後、驚いて目を見開いた。
「え?ちょ?どういう...」
「文月くん、好き」
「……」
またも沈黙。ああ。またやっちゃった。失敗。でも、黙っていられなかった。他に好きな人がいる人にとって迷惑かもしれないけど言わずにいられなかった。
「急にごめんね。彼女いるのに。迷惑かもしれないけど、思わず言っちゃった。ごめん。」
「…は?彼女?迷惑?」
「詩織さんが彼女でしょ。」
「いや、彼女じゃないし。っていうか、ちょっと待って。え?俺の事好きって言いました?」
顔が少し赤くなっている。また言わせるの?さすがに恥ずかしいんだけど。私は少し視線を外して言った。
「う...ん。文月くんがす.....うわっ」
最後まで言い終わらないうちに抱き締められた。
「やっと認めた...はっ!でも、友達としてってことじゃないですよね?」
抱き締めていた腕を解いて肩に移動させた。心配そうな顔でのぞき込まれる。いつもの余裕の表情ではなくきゅんとして、やっぱり好きだなと思った。
何でこんな顔するんだろう。私の気持ちは迷惑じゃないのかな。小さな期待と困惑が胸に広がる。
「…友達としてじゃないよ。ただ言いたかっただけだから、気にしないで。」
やっと認められた私の初恋。ただ今はこの気持ちを大切にしたい。
「マジで?やった!」
またゆうきゅんに抱き締められた。
「やっと俺のとこに来た...」
嬉しそうにつぶやく声に混乱する。
「あ…の...?喜んでるの?詩織さんは...?」
「え?詩織?何で?」
「付き合ってるんじゃないの?キスしてたし…」
「あぁ。忘れてた。あれは詩織が無理やりしてきただけです。」
「え?」
忘れてたってどういうこと?あんなのを忘れるもの?私の頭は疑問でいっぱいだ。
「でも、さっき詩織さんとレストランにいたでしょ。」
「詩織、彼氏いるから。彼が仕事でイブに一人が寂しいっていうから友達としてごはん食べようと思っただけですよ。」
「……」
納得しない私をちらりとゆうきゅんが見る。
「詩織が予約取ったとか言う店に行ったら恋人と行くような店だったから辞めようと思ってたんですよ。」
そういえば入り口でなんか言い合ってたような。
「だから、俺と詩織は付き合ってない。優芽ちゃんは心配しなくて大丈夫です。」
「でも…」
「俺はずっと優芽ちゃんが好きです。」
照れたようにはっきり言われて顔が真っ赤に染まった。
「で、でも…ずっと呼び捨てで仲よさそう......」
自分の口から出た言葉に自分で驚いて顔がさらにゆでだこのようになった。は、恥ずかしすぎる。こんなことでヤキモチ焼くなんて。ずっと気になってたことがポロリと口から出た。
「はー。なにそれ。何てこと言うの?」
え?溜息?うっ。面倒くさいよね。
ゆうきゅんがやさしく抱き締めた。
「かわいすぎること言わないでください。もうあの人とは会わないので大丈夫です。俺には優芽ちゃんだけです。信じて。」
甘くささやかれてそれだけでとろけそうになる。好きな人に抱き締められて優しくささやかれるってすごい。
「…うん…」
かろうじて返事をすると。またゆうきゅんの溜息が聞こえた。
「あー。優芽ちゃんにもっと触れたい。」
「え?」
声が小さくて聞き取れなかった。
「僕、寒いんですけど、部屋入れてもらえませんか?」
子犬のようにおねだりされてまたもきゅんとさせられた。
「あっ!ごめん!寒いよね。ずっと待っててくれたのに。」
急いで鍵をあけた。ガチャという音と同時にゆうきゅんが私の手を引っ張りドアを開けた。そしてすぐ片手で鍵を閉めた。状況について行けずゆうきゅんを見上げると、ドアを背に私は閉じ込められた。
すぐ目の前にゆうきゅんの顔があり目を見開いた。色素の薄いダークブラウンの瞳が熱を持って私を見つめている。
私は思わず喉をならした。
目を細め少しずつ近づいてくるのがわかり、私も思わず目を閉じた。