腹黒王子の初恋
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真っ暗な優芽ちゃんの部屋。扉を背に彼女を閉じ込めた。顔を近づけたらやっと彼女の顔がはっきり見えた。熱の籠った優芽ちゃんの瞳にぞくりとした。早く触れたいという爆発しそうな欲求を必死で抑えて軽く唇に触れた。その瞬間電気が走ったかのように刺激が体中に走った。一度触れてしまってはもう抑えられない。俺は我を忘れたように激しく唇を貪った。
ヤバい。何だコレ。止まらない。気持ち良すぎる......
自分の変化に驚く。キスってこんなんだったか。先日、詩織に無理やりキスされたのを思い出す。その時も驚いた。一度優芽ちゃんとの唇を知ってしまった後の詩織とのキスはもうただの接触だった。手を繋ぐのと大差ない。
思えば好きになった人とのキスは初めてだ。今まで何人かと付き合い、関係を持ってきたが、こんな感覚は初めてだった。もうこれを知ってしまったら他の人は無理だ。優芽ちゃんしか考えられない。
「...んっ」
優芽ちゃんの口から微かに声が漏れる。その微かな声にさえ俺の感覚が反応する。一瞬開いた口に舌先を突っ込んだ。彼女がびくっと震えたのが分かった。そして軽く俺の肩を数回叩いた。
無視してキスにのめりこんでいると、思い切り押された。
「…息ができない。」
優芽ちゃんの慣れていない様子が愛しい。
「鼻で吸って」
離れてしまった顔を両手で優しく引き寄せた。自分でも信じられないほど甘く優しい声が出た。優芽ちゃんがぎゅっと俺の服を掴んだ。それを合図にまた激しく唇を求めた。時には優しくゆっくりと緩急つけて味わう。何時間でもこうしていられそうだ。その時、急に優芽ちゃんが力なく座り込んだ。顔を真っ赤にして肩で息をしている。そんな様子に微笑んで彼女を抱き上げた。
「寝室はこっちですよね?」
寝室にあるベッドに優芽ちゃんを優しく下した。ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外した。その一連の動作を優芽ちゃんはじっと見ていた。彼女を組み敷いてそっと頬に触れた。その時カーテンの隙間から入る月明りで優芽ちゃんの表情が見えた。
「…っ」
怯えるような瞳に俺は固まった。よく見ると小さく震えていた。
「…ごめん。」
怯える優芽ちゃんを優しく抱き締めた。俺は自分を殴り倒したかった。自分の気持ちだけで暴走していた。
「…辻先輩とはしてないんですね?」
「…泰晴とは何も...してない」
その答えを聞いて強く抱き締めた。嬉しい。優芽ちゃんの初めてが俺だなんて。喜びが体全体に広がった。今まさに自分が優芽ちゃんを怖がらせているのにその事実を知ってどうしようもなく喜んでいる自分に苦笑した。そしてやっぱり辻先輩には勝てないと自己嫌悪。俺なんか初日からこんなにがっついて童貞かよ…
「…ごめん...ごめん...止まらない」
優芽ちゃんが涙が溜まった目で見る。唇で優しく涙を拭きとり、軽く数回唇に触れた。震える手をぎゅっと握った。
「ごめんね。俺が完全に悪いから、優芽ちゃんは謝らないで。ホント、余裕なくてごめん。」
「え…?」
「何、その顔。」
「だって、文月くん慣れてるだろうに。余裕ないとか。」
「俺だって好きな人には余裕なくすよ。」
今まさに大反省してるのに。俺は口を尖らせた。
「ふふっ。何かかわいい。うれしぃ。」
優芽ちゃんがくったくなく笑う。
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。数回軽くキスをした。
「そんなこと言うともっともっとしますよ~」
「えっ。ちょっと待ってっ」
軽く触れるだけのキス。お互い笑いながら抱き合った。よかった。震えは止まったみたいだ。
その日はベッドの上で軽くキスをしたり抱き締めたりするので終わった。
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真っ暗な優芽ちゃんの部屋。扉を背に彼女を閉じ込めた。顔を近づけたらやっと彼女の顔がはっきり見えた。熱の籠った優芽ちゃんの瞳にぞくりとした。早く触れたいという爆発しそうな欲求を必死で抑えて軽く唇に触れた。その瞬間電気が走ったかのように刺激が体中に走った。一度触れてしまってはもう抑えられない。俺は我を忘れたように激しく唇を貪った。
ヤバい。何だコレ。止まらない。気持ち良すぎる......
自分の変化に驚く。キスってこんなんだったか。先日、詩織に無理やりキスされたのを思い出す。その時も驚いた。一度優芽ちゃんとの唇を知ってしまった後の詩織とのキスはもうただの接触だった。手を繋ぐのと大差ない。
思えば好きになった人とのキスは初めてだ。今まで何人かと付き合い、関係を持ってきたが、こんな感覚は初めてだった。もうこれを知ってしまったら他の人は無理だ。優芽ちゃんしか考えられない。
「...んっ」
優芽ちゃんの口から微かに声が漏れる。その微かな声にさえ俺の感覚が反応する。一瞬開いた口に舌先を突っ込んだ。彼女がびくっと震えたのが分かった。そして軽く俺の肩を数回叩いた。
無視してキスにのめりこんでいると、思い切り押された。
「…息ができない。」
優芽ちゃんの慣れていない様子が愛しい。
「鼻で吸って」
離れてしまった顔を両手で優しく引き寄せた。自分でも信じられないほど甘く優しい声が出た。優芽ちゃんがぎゅっと俺の服を掴んだ。それを合図にまた激しく唇を求めた。時には優しくゆっくりと緩急つけて味わう。何時間でもこうしていられそうだ。その時、急に優芽ちゃんが力なく座り込んだ。顔を真っ赤にして肩で息をしている。そんな様子に微笑んで彼女を抱き上げた。
「寝室はこっちですよね?」
寝室にあるベッドに優芽ちゃんを優しく下した。ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外した。その一連の動作を優芽ちゃんはじっと見ていた。彼女を組み敷いてそっと頬に触れた。その時カーテンの隙間から入る月明りで優芽ちゃんの表情が見えた。
「…っ」
怯えるような瞳に俺は固まった。よく見ると小さく震えていた。
「…ごめん。」
怯える優芽ちゃんを優しく抱き締めた。俺は自分を殴り倒したかった。自分の気持ちだけで暴走していた。
「…辻先輩とはしてないんですね?」
「…泰晴とは何も...してない」
その答えを聞いて強く抱き締めた。嬉しい。優芽ちゃんの初めてが俺だなんて。喜びが体全体に広がった。今まさに自分が優芽ちゃんを怖がらせているのにその事実を知ってどうしようもなく喜んでいる自分に苦笑した。そしてやっぱり辻先輩には勝てないと自己嫌悪。俺なんか初日からこんなにがっついて童貞かよ…
「…ごめん...ごめん...止まらない」
優芽ちゃんが涙が溜まった目で見る。唇で優しく涙を拭きとり、軽く数回唇に触れた。震える手をぎゅっと握った。
「ごめんね。俺が完全に悪いから、優芽ちゃんは謝らないで。ホント、余裕なくてごめん。」
「え…?」
「何、その顔。」
「だって、文月くん慣れてるだろうに。余裕ないとか。」
「俺だって好きな人には余裕なくすよ。」
今まさに大反省してるのに。俺は口を尖らせた。
「ふふっ。何かかわいい。うれしぃ。」
優芽ちゃんがくったくなく笑う。
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。数回軽くキスをした。
「そんなこと言うともっともっとしますよ~」
「えっ。ちょっと待ってっ」
軽く触れるだけのキス。お互い笑いながら抱き合った。よかった。震えは止まったみたいだ。
その日はベッドの上で軽くキスをしたり抱き締めたりするので終わった。
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