紫陽花の蕾
2年生、春。
家に帰り、部屋の荷物をまとめる。
私は父と二人暮らしなためか、荷物も少なく、すぐに作業は終わった。
明日には、ここを離れる。
父が家具などをまとめている間、私は自分の部屋に入り辺りを見渡してみる。
こんなに広い部屋だったのか。
引き出しの中に忘れ物が無いかを確かめるが、全て空っぽで、鉛筆の跡などが黒く残っていた。
もう大丈夫だろう。そう思って閉じようとしたが、一箇所だけ、何か挟まっているような違和感を感じた。
手を突っ込んでみると、そこには古くなった1冊のノートが現れた。
「・・・何のやつ?」
全く身に覚えがない、薄ピンク色のノート。授業で使っていたならば、表紙に教科名を書いているはずだ。
だが、このノートには何も書かれていない。
不思議に思いながらも、中を覗いてみた。
ーーーーーーーー
4/27
初めての東北。すごく涼しい。
制服が可愛いところらしい。
また1からの生活だけど、上手くいくといいな。
ーーーーーーーー
紛れもなく、自分の字だ。
「・・・あ!」
これは1年前のものだ。
新しい環境が不安で、毎日記録をつけて思いを吐き出そうとしていたことを思い出した。
私は父と二人暮らしなためか、荷物も少なく、すぐに作業は終わった。
明日には、ここを離れる。
父が家具などをまとめている間、私は自分の部屋に入り辺りを見渡してみる。
こんなに広い部屋だったのか。
引き出しの中に忘れ物が無いかを確かめるが、全て空っぽで、鉛筆の跡などが黒く残っていた。
もう大丈夫だろう。そう思って閉じようとしたが、一箇所だけ、何か挟まっているような違和感を感じた。
手を突っ込んでみると、そこには古くなった1冊のノートが現れた。
「・・・何のやつ?」
全く身に覚えがない、薄ピンク色のノート。授業で使っていたならば、表紙に教科名を書いているはずだ。
だが、このノートには何も書かれていない。
不思議に思いながらも、中を覗いてみた。
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初めての東北。すごく涼しい。
制服が可愛いところらしい。
また1からの生活だけど、上手くいくといいな。
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紛れもなく、自分の字だ。
「・・・あ!」
これは1年前のものだ。
新しい環境が不安で、毎日記録をつけて思いを吐き出そうとしていたことを思い出した。