ずっとやさしい手のひら・続編
思い出の地
健太がすべてスケジュールを立ててくれて、いよいよ沖縄に向かう

朝一番の飛行機に乗るためマンションを早くに出た

相変わらず私は出る直前までドタバタと荷物の確認に追われ、健太に「昔と変わらないな」と、笑われてしまった

それでも必死に確認を終え、空港にやってきた

ショルダーバックから二人のパスポートを出す

自分のパスポートを見て、思わずニヤけてしまう

名前が川崎亜美になっていること

それがなんだかこちょばしくて、照れ臭くて、なんとも言えない嬉しさで…

夫婦になったんだと改めて実感していた

「何一人でニヤけてんの?」

最初から見ていたのか健太に指摘されて

「名前が川崎亜美になってるから…それがね、嬉しくて」

「そんなことでニヤけてんのかよ」

健太は口元を上げて微笑む

「いいの。嬉しいんだから」

自分で言っておきながら恥ずかしくて健太の腕に手を回した

「ここじゃないだろ。こっち」

そう言って私の手を解き、健太の左手が私の右手に絡み、手を繋ぐ

そんなちっぽけなことでも、私の心臓がギュッと縮こまる

この先ずっと私は、健太の仕草や行動にドキドキさせられるんだろうな…

そんなことを考えながら、私達は沖縄へと向かった




< 10 / 50 >

この作品をシェア

pagetop