ずっとやさしい手のひら・続編
「話って何?」

尖った言い方で新くんが言った

「謝りたくて今日は来たの…」

新くんは窓を見ていてそっちを見たまま私の話を聞いていた

「謝って済むことじゃないけど、私には謝ることしかできなくて…ひどいことをしてしまって…本当にごめんなさい」

私はソファに座ったまま深く頭を下げた

そのまま数秒経った所で

「もういいよ。済んだことだし」

顔を上げて見た新くんの横顔が悲しい顔で、その横顔に喉が痛くなる

「遅かれ早かれ、健太が来たらお前はどっちにしろ健太の所に行くだろ。だから籍入れる前で良かったんじゃね?」

「…」

「お互い想っていなきゃ、結婚してもうまくなんかいかない」

「でも私は新くんのこと」

「もういいんだって。お前に何言われても言い訳にしか聞こえないから」

私が言うことでさらに新くんを苦しめてしまう

でも謝ることしかできなくて…

「ごめんなさい」

「幸せか?」

「…」

「幸せなんだろ?」 

「…」

「幸せじゃないなら健太をぶん殴る」

私は新くんの言葉にえっ?と思い顔を上げてみると

「幸せだよな?」

最初に会った時の冷たさがなく、緩やかな顔で私に聞いた

だから私はコクンと黙って頷いた




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