ずっとやさしい手のひら・続編
「幸せじゃなかったら身を引いた俺がバカじゃん」

「新くん…」

「俺は大丈夫だから、もう気にするな。健太に幸せにしてもらえ」

優しい言葉を掛けてくれたから張り詰めていた糸がプツンと切れ、涙が溢れていた

「苦しめて…ひどいことをして…ごめん…なさい」

「泣くな」

そう言ってティッシュの箱をまるごと私にくれた

「俺は俺の道を行く。お前は健太と一緒に二人の道を行け。もう他の道に逸れるな」

こんな私に優しく微笑む

「よし、もう帰れ。健太が待ってる」

「新くん…」

「幸せになるんだぞ」

そう言って拳を握っていた手を広げ私の頭を一度だけそっと撫でた

玄関で私は

「新くん、ありがとう」

今までの気持ちを込め新くんにお礼を言った

「ありがとうか…」

フッと笑い

「俺もありがとう」

「えっ?」

「人を愛する気持ちをお前は教えてくれた」

「私はそんな…」

「頑張れよ」

「うん」

「じゃあな」

マンションから出て外の空気に触れ、私は深呼吸をして空を見上げた

新くんの優しさを忘れてはいけない

私は今日のことを胸に刻み込んでいた




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